魔女



 
あなたは魔女になりました
不意に突然言われた言葉
………魔女って何?
………魔女になるってどういう事?
魔女なんて言葉を聞かされても、知っているのは終わってしまった昔話
魔女になったなんて言われても、思い浮かんだのは一度出逢った覚えのある………
驚いただろうけど
不安かもしれないけれど
SeeD達の言葉が空回りする
だからいったい魔女って何!?
魔法を使えるが魔女だっていうならサイファーだって使ってるじゃない
強大な魔法の力があるかもしれない?
魔女にも個人差があるとかなんとか、良く分からない説明がされる
良く分かったのは、魔女だって人と同じように悪い魔女もいれば良い魔女もいるって事
………何ソレ
それなら別にSeeDと変わらないじゃない
別にそれなら、戦う力を手に入れたってだけの話
それなら全然問題ない
元々私はガルバディアと戦うつもりだったんだから
状況は良く分からないけれど、ガルバディア兵と戦うという彼等の言葉に協力を承知していた
相手がガルバディアだから戦うだけ
―――さっきまで居た、おかしな世界から抜け出す為に協力する訳じゃない

新しい魔女だと紹介された相手はリノアだった
こうやって答えを教えられてみれば、リノアがおかしな事になったのは“魔女”と相対してからだったということに思い当たる
こうやって実際に見せられてみれば―――あの時の状況を思い出してみれば―――魔女の力の継承っていう奴は至極あっさりしたモノの様だ
継承元も、継承先もどっちも気付くことのないまま、いつの間にか力が移動している
キスティス達との会話を聞けば、魔女の力の方も勝手に使い方を知っているというのとも違う様だ
案外、魔女の力を継承していても、自分が魔女だと言うことに気付かないままっていうのも在りそうだ
「魔法の力かぁ」
暫く両手を見つめた後、ようやくほんの小さな魔法の力が現れる
部屋の隅に居た幾人かのエスタの研究員達が詰めていた息を小さく吐き出した
キスティス達4人がリノアの協力を取り付けようと必死で話を続けている
その直ぐ傍で、リノアの知り合いが説得の邪魔をしようとして頑張っている
………めんどくせぇな
長くは無いが、短くも無いそのやり取りに、サイファーは苛立った様に舌打ちを零す
「あんた、ガルバディア軍を倒すのに協力しないか?」
要は協力させれば良いんだろう
元々ガルバディア大統領の暗殺を企んでいた女だ
弾かれたようにこっちを向くと、躊躇いもせずに協力を約束した
ほら、こうすりゃ簡単なことじゃねぇか

だまし討ちに近い形で、魔女の協力を取り付けた
新たな魔女の友人は大騒ぎしていたが、本人は至って乗り気に見える
彼等のやり取りの中で見え隠れするガルバディアへと対する嫌悪
そういえば、ティンバーの人間だった
エスタの魔女アデルとの戦いの中生じた混乱に併せ、ガルバディア軍に攻め込まれた小さな国
ガルバディアから国を取り戻そうとして大小様々な組織が蠢く場所
「それで作戦はどんなの?」
魔女―――リノアの問いかけに、サイファーの視線がこちらを向いた
 

 To be continued


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