最後の一欠片 あと一度だけの呼吸 命が尽きるその瞬間に、私は私でなくなった “私”の中に入り込んで来た異質な存在 “私”を飲み込み取り込んだ漆黒の闇 終わる筈の命は不自然に引き延ばされ そうして“私”ではなくなった私が行った数々の悪夢 繰り広げられた惨劇の数々 ソレが私の中に居たのはほんの一時 時間にして1時間にも満たない時間 けれど……… ソレの存在は強烈で、力は強大すぎた あの一瞬で私は私では無いモノへと作り替えられた “私”を覆い尽くす、憎しみ、怒り………絶望 “私”は人が持ち得ない力を使って、私ではない何かの命を使い始めた 私に殺された人の命 人ではない、何者かの命 閉じこめられた闇の中で、“私”は私がする事を余すことなく見ていた “私”では無い私を呼ぶ声が聞こえる ―――怨嗟の声が聞こえる 今日もまた、私に逆らった者が始末される 私に向かい突きつけられる憎しみの感情 恐怖に震え私に従う者の姿 彼等に“私”の声は聞こえない “魔女”アデル “私”の名ではない名前が呼ばれる 今日も世界が悲鳴を上げる “魔女”は力を失う迄死ぬことは出来ない
長い眠りから覚めた“私”が見たのは、私と相対する人の姿
悪夢が終わった―――
To be continued
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