英雄と人形
(おまけ)


 
反省会
と名付けられた時間
ラグナとスコールは殺風景な部屋の中で無言のまま座っていた
「…………」
無言のままに過ぎていく時間
時間の分だけ、セルフサービスで飲み続けたコーヒーの減りが早い
いつのまにか入り込んでいた科学者の存在
遙か昔から存在していた施設の存在
そのどちらにも気付かなかった責任はエスタに有ると言えばある
けれど……
今回は、ちっとだけ気が楽って言えば楽かもな……
今回は、開き直ると共に早々に手を打った
情報の公開
施設の公開
下手な噂で情報が流れ出すよりも早く、真実を流してしまう
実物を見せてしまう
今後それなりに面倒な事は起きるかも知れないが、それもたいしたことじゃない
コーヒーを飲み干し、もう1杯煎れる
カップが無言で手元に差し出される
…………
意図しない所で施設を破壊したスコールは責任を感じているのか、大人しい
カップを受け取ってお湯を注ぐ
「……お湯が切れたな」
施設の破壊以上に後悔している事
あそこに残っていた1体の人形
んー、まぁ仕方無いよな
ラグナは立ち上がり、部屋の外へとお湯のお代わりを頼む
気付くか気付かないかはスコール次第って所か……

「失礼します」
言葉と同時に入った室内
広い部屋の片隅に、小さなテーブルとソファーが2つ
…………
「悪いな」
思わず室内を見回した私に、手を挙げて声がかかる
「いえ……」
先日までと違って私は暇だから
テーブルへと歩みより、お湯を入れた器を持ち替える
器を入れ替える際、小さく音が鳴った
少年が驚いた様に私を見る
「カラダの調子はどうだ?」
軽い調子でかけられる言葉に私は、順番に2人と視線をあわせる
滑らかに動く身体
損なわれたところの無い記憶
「良好です」
新しいカラダに馴染む迄もう少し掛かるかもしれませんが……
「そっかそりゃ、良かった」
カレが嬉しそうに笑うのと同時に、少年が目を見開く
……私の動きはまだぎこちなかった?
「失礼致しました」
疑問を抱きながら、ゆっくりと部屋を退出する
今は遠い場所、私自身が有る場所で動く人の気配がする
遠いその場所で操作される機械
呼び出される内容に目を細めるのと同時に、退出した室内から大きな音が聞こえた