祭り
色とりどりの電球、賑やかな音楽
道の両端には、出店が並ぶ
「こーゆのって、見てるだけでも楽しくなるよな?」
隣にはうきうきと楽しそうなラグナ
「あれ?こういうの嫌いだったか??」
慌てた様なラグナの顔
神妙そうな顔をしていたが返事を聞いて、嬉しそうに微笑む
「そっか、ならよかった」
ほっとしたようにそう言って、店沿いに歩き出す
「で、何かやりたいモノとか、食いたいモノとか……」
両側から、食べ物の匂い
威勢の良い呼び込みの声
「あ、あれ、食べないか?」
返事をする前にいなくなってしまう
手に持ってくるのはお好み焼き、数はもちろん二つ
お祭りの楽しい雰囲気、ついつい食べ物に手が伸びて……
「うまいよなっ!」
普通に食べればたいしたものじゃないのに、こういうところで食べると、とても美味しいと言って本当に嬉しそうに、美味しそうに食べる
「こういう雰囲気って、俺好きなんだよなぁ〜」
話しながらラグナは、イカ焼きの出店の前で立ち止まる
「にいさん、2つなっ!」
威勢のよい返事が返ってくる
イカの焼ける匂い……
「あれ?イカ焼き嫌いだったか??」
困ったような顔でこちらを見る
「……あ、そう?……なら……」
イカ焼きを瞬く間に食べていく
そして、辺りを落ち着きなく見渡す
「後は……焼きそば、たこ焼き、トウモロコシに、じゃがバター、かき氷に、チョコバナナに…………」
どんどん食べ物の名前が挙がっていく
不意に立ち止まって、焼きそばを手に戻ってくる
辺りには、良い匂い……
しばらくの間、通りには食べ物関係の出店が連なっている
「……ちょっと、買いすぎたかな?」
そういうラグナは、さまざまな食べ物を持っていた
「あ、あれやろーぜっ!」
手を引っ張られ、出店の前へと連れて行かれる
水の中に風船が浮いている
「これが、結構……」
流れに乗って、風船が移動していく
「……好きな色は?」
答えた色を真剣に狙っている
……………
「ああっっ!」
釣り上げた色は、ソレとは違う色
悔しそうにしながら、もう一度チャレンジ
…………………
数個の水風船の中から、ソレを手渡される
「ん?いるならやるよ」
声に振り向けば、ラグナが子供達に釣り上げた水風船を手渡していた
続けて、ダーツをして…………
その次は、くじ引き
一等が、実物大のチョコボ人形
二等が、子チョコボ人形
次が、トンベリキーホルダー
そして、サボテンダーステッカー
「これな…………極端なんだよな……」
ぶつぶつ言ってるラグナと一緒にくじを引く
手に取ったくじは見事にはずれ
ラグナは………
無言で首を振って、立ち去る時に、ステッカーを渡す
そして、輪投げ屋の前に来て
「……あれは卑怯だよなぁ?」
輪投げの棒が、走る恰好のサボテンダーだ
輪が、綺麗に地面に落ちないと、ダメらしい
見ている間にも、誰1人として成功しない
「……これは、パスするか……」
そう言って、背を向けるラグナは悔しそうだ
「よっし、これなら得意だっ!」
ラグナがそう言って近づいて行ったのは射的屋
銃を手にとって、構えて……
「何が欲しい?」
嬉しそうに、楽しそうに聞いてくる
……………
ラグナが引き金を引く、軽い音を立てて弾が飛び出す
狙った品物が綺麗に落ちる
「よしっ!」
小さくガッツポーズを取るラグナに、小さな賞賛の声
「次は、何にする??」
再び、ラグナは、銃を構える
……………
そして………
数分後には、人だかりが出来ていた
百発百中……
「よしっ、あれ、落としてみっか……」
残っているのは、特大のチョコボ人形と特大のサボテンダー人形……
残った弾は1つ……
ラグナが放った弾は、見事に一体の人形を落とした……
「うん、今日は楽しかったな、なぁ?」
時間が過ぎるのが早い………
「じゃあ、帰るか?」
大きな人形を抱えて
「……!ちょっと待ってな!」
人形を押しつけると、ラグナはどこかへ走り去ってしまう
少しの時間の後……
「これ、土産、な」
差し出されたのは、一袋の綿飴……
「じゃ、かえろーぜ」
軽々と、人形を持ち上げ、ゆっくとり前を歩き出す
背後では、賑やかな音楽が……
色とりどりの明かりが
少しずつ消えていく…………
祭りの夜の小さな出来事
END
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