とある海岸
  
綺麗な海岸だろ?
結構穴場なんだぜ?
ちょっと詳しい場所はいえねぇけどな……
ん?そう言わずに教えろって?
教えたいのはやまやまなんだけどな…………
ちと、訳ありな場所なんだ
……教えられないんなら言うなって?
そういわれりゃその通りだな……
 
 
 
 
 
エスタ夏の観光地! 
観光地候補の選出が行われるのは、来週の事だった 
「夏っていったら、やっぱり海だろ?」 
ラグナのその一言で、彼等はエスタ国内のとある海岸へと来ていた

「んー、空気も綺麗だし、景色もいいんじゃないか?」 
確かに、こんな海岸でバカンスなどとればさぞかし気持ち良いだろうという場所ではあった 
だが……… 
「ちょっと遠いけど、その辺はどうにかなるよな?」 
確かに、エスタ中心部の周辺には砂浜が広がる海岸線など存在しないため、ここに来るのにも多少の苦労はした、が…… 
「そういう問題ではないと思うが?」 
冷ややかなキロスの声が盛り上がる気分に水を差した 
「なんだよ?」振り返ったラグナの目の前で、キロスのカタールが白い軌跡を描き、何かを両断する 
……………… 
「こういうモノが多いのだが、それはいったいどうするつもりかな?」 
足下に落ちたのは、砂浜に住むモンスター 
人の手が入っていない場所というものは、モンスターの討伐も行き届いてはいないと言うことで………… 
「やっぱ整備するのに時間かかるよなぁ〜」 
ラグナがため息をつく間にも新たなモンスターが現れる 
「…………ラグナ君……」 
「仕方ない、ここは諦めるか」   
  
こうして、エスタ初の国営海水浴場は実現しなかった

 
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