8月23日は大切な日、スコールの誕生日
そっと感謝の念を抱きながら
ラグナはその日休暇を取った

バラムガーデンを正面に見据えて、大きく深呼吸をする
ガーデンには事前に連絡を入れた
(突然訪問しても中に入れて貰えないから)
しっかりプレゼントは持っている
(スコールがほしがっている物はスコールの友人達に聞いて貰った)
もう一度大きく深呼吸して、ラグナは、ガーデンへと足を踏み入れた

学生寮のある場所は学園長に教えられた
スコールの部屋迄の地図まで貰った
……こんなとこで迷ったらちっと間抜けだよな……
生徒達の視線を浴びながらラグナは真剣に歩いていた
「……何やってんだ?」
地図を見つめ歩いていたラグナの耳に聞き慣れた声が聞こえた
そして、覚えのある気配
「……………スコール?」
振り返った先に複雑な表情をしたスコールの姿があった

「何しに来たんだ?」
注目を浴びるのを嫌がったスコールに引きずられるようにして目的地にたどり着いた
「……まぁ、ちょっと……」
……計画狂っちまったな……
ラグナは内心大きなため息を吐く
プレゼントだけ置いてくるつもりだったんだけどな
会うつもりは無く、それでいてプレゼントを送る事も出来なかったのは、自信のなさの現れ
スコールの反応が怖いから
「……用事があるんだろ?」
感情の読めないスコールの言葉
「ああ」
どうするべきか考えながら、ラグナははっきりと頷いた

不思議な時間が過ぎた
何をするでもない静かな時間
スコールは、ラグナの存在を忘れたかの様な行動を取りながら
思い出したように話をする
ラグナもまた、静かに風景を、室内を見つめ
スコールの話に相づちを打つ
時折交わされる会話
ゆったりと時が流れた

It thanks for your being born
ラグナが帰った後、スコールはカードのついた小さな箱を見つけた
リボンを掛けられたそれは明らかにプレゼント
片隅に小さくラグナの名前
スコールはカードを取り上げゆっくりとメッセージに目を通す
弾かれた様に顔を上げるとカレンダーへと目を向ける
日付は8月23日
「……誕生日?」
小さな呟きは狭い部屋の中に吸い込まれた

あなたが生まれて来てくれた事を………………
文字にされた静かな思い
今までもこれからも大切なこの日を忘れる事無く祝おう

 

 

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