テーブルの上に並べられた手作りのごちそう
そして、中央に置かれた不格好なケーキ
歪んだチョコレートのプレートの上に
下手な字で書かれた
 はっぴいばすでぃ
の文字
スポンジの上からはみ出したり、塗られていない場所があるクリーム
一部崩れ落ちたクリーム………
優しい笑みが浮かぶ
「二人で一緒に作ったの」
子供達の声
聞かなくても解るできばえだけれど
「すごいな」
ラグナは驚きの声を上げて、二人をまとめて抱きしめる
「うれしい?」
無邪気に問いかける声
「ものすごーく、うれしいぜ」
子供達からこぼれる笑み
「じゃあ」
スコールが顔をのぞき込んで真剣に
「美味しい?」
問いかける
「……………………いや、それは食ってから聞いてくれるか?」
不思議そうな顔、とあきれたような顔
「うん、解った」
スコールの元気な返事を聞きながら
………思わず“美味しい”って言うとこだった……
ラグナは内心冷や汗を拭っていた

消された灯りと、小さな歌声
仄かに揺れる蝋燭の灯り
お祝いの言葉を貰い
子供達が作ったケーキが切り分けられる
ラグナがケーキを口へ運ぶのを真剣な2対のまなざしが追う
…………なんか、食べづらいんだけどな……
口の中に落とされるケーキの味
ふんわりとした柔らかさ
心地よい甘み
「うまい!」
心の底からの声
子供達は顔を見合わせ、急いで自分たちもケーキを口へ運ぶ
とたんにこぼれる笑顔
「すごいな、うまいなー」
ラグナは感心したように何度も繰り返しながらケーキを食べていた

やがて、テーブルの上には空になった皿だけが残る
家族4人、ささやかな会話を交わす
幸福な情景がそこに存在していた

 
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