その日、ラグナの元に無機質な小包が一つ届いた
差出人の名前も無い飾り気のない小包
当然、それなりの人たちの元へ引き渡され、慎重に中身を確認してしかるべきモノ
だが、ラグナは、なぜかソレをしたくなかった
しなくても良いと考えた
すべては根拠の無いカン
だが、それは絶対の自信
ラグナは、誰を呼ぶことも無く、自室に荷物を運び込んだ

幾重にも包まれた厳重な梱包
何度も箱を開くが、なかなか中身が現れない
…………嫌がらせか?
頭の中によぎる言葉
隣に投げ出された空箱の数は、厳重な梱包というよりも、確かに嫌がらせと言える程の数
「………最後までこの調子だったりしてな……」
思わず口をついた言葉
………………それは、ちょっと……な
あまりありがたく無い考えに、ラグナは慌てて首を振る
両手で抱える程の大きさだった小包が、片手でもてる程の大きさになっている
箱だけにしては、重い感覚
「ま、そのうち何か出て来るだろ」
ラグナは、再び箱を開封した

手のひら程の小さなプレゼントの包装
リボンをほどき包装を開ける
中には小さな一枚のカードとカードの下に隠れる様に置かれた品物
ラグナはカードを取り上げる

    Happy Birthday

そっけなく書かれた一行の文字
ラグナは、カードを返し、名前を探すがどこにも書かれていない
…………書き忘れってとこか?
首をひねりながらプレゼントらしい箱の中身に目を落とす
入っていたのは一束の紙
なんだ、これ?
手に取り、じっくりとソレを眺める
僅かな困惑
突如ラグナは、大笑いする
しばらくの間、狭い部屋の中にラグナの笑い声が響く
手の中にあるのは、バラムガーデンの食券の綴り
「礼を言わないとな」
ようやく笑いを納めると笑顔で立ち上がる
こんなモノをプレゼントする人物は1人しか心当たりは無い

「スコールも面白い事考えつくよな」
ラグナは、上機嫌で廊下を進む
送られたプレゼントの意味は……
また、遊びに行っても良いってこと、だろ?

 

 

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