なんとなく目覚めた夜中
部屋の外に出て
扉の向こうから漏れ出ている灯り
まだ起きてるんだ
ふと思いついて足を伸ばす
そっと叩いた扉
中から返ってきた返事に小さく扉を開ける
「どうした?」
不思議そうに問いかける声
「誕生日おめでとう」
エルオーネの言葉に驚いた様に目が見開かれ
「ありがとな」
そして嬉しそうに笑った
「もう少し待ってね」
主役と来客を前にしながらエルオーネは慌ただしく動く
「なんか手伝うか」
そう言って幾度も腰を上げるラグナを押しとどめ
できあがった料理を盛りつけ
広いテーブルの上へと運ぶ
誕生日のお祝い
どこか居心地が悪そうなラグナの様子と
そんなラグナを見て楽しそうなキロスとウォードの様子
そして、三人から少し離れた場所で、スコールがそっぽを向いて座ってる
身内だけで行う誕生日のお祝い
エルオーネは料理を並べて
最後に一つ写真を飾る
「出来たよ」
声をかけて手招いて
席についた皆に飲み物を配る
「誕生日おめでとう」
エルオーネの音頭で口々に出るお祝いの言葉
掲げられたグラスが音を立てて鳴った
ラグナの目の前に綺麗にラッピングされた小さな箱が落とされる
驚いた様に顔を上げるラグナと
落とすだけ落としてどこかを見ているスコール
「スコール?」
戸惑った様なラグナの声に
「一応、お祝いだと聞いたから」
あさっての方を見ながらスコールが答える
驚いたままの顔をしたラグナが手元視線を落として
「ありがとう」
笑顔を浮かべる
素直じゃないよね
視線を背けるスコールの様子にそっとため息を吐いて、エルオーネもプレゼントを手にラグナの隣へと近づく
「おめでとうおじさん、これは私からね」
「エルもくれるのかっ」
少し大げさに喜んでのお礼が少し照れくさい
「お祝いだもの、ね」
そう言ったエルオーネの言葉に
「プレゼントか、そんなモノを用意した事は無かったな」
『わざわざ必要無いだろ』
キロスとウォードが感心したように呟いていた