かつて不毛の地だった場所に広大なすいか畑が広がっていた

暑い夏の時期に村人総出ですいかの収穫が行われていた
さほど多くはない作物を収穫する手つきは慎重で、喜びに満ちている
畑の脇には収穫されたばかりのすいかが置かれていた

夏の間、村のはずれに人工的に池が作られる
そこには、収穫したばかりのすいかが貯蔵される
村人全員で、栽培収穫したそれは、村全体の食料として、夏の間人々ののどを潤していた

夏の夜
村の中央でささやかに納涼祭が行われた
人々には皆平等にこの夏とれたばかりのすいかが振る舞われる

涼やかな夜風が吹き抜けていく、会場の四隅に用意されているベンチで、人々は思い思いに涼んでいる
「今年も無事収穫出来て良かったわね」
セリスの耳に近くに座る人々の会話が聞こえてくる
人々の顔には笑顔が溢れている
楽しげな人々の声に笑みを浮かべ、セリスはすいかに包丁を入れた
人々の様子を目の端で捕らえながら、セリスの手で手際良く、すいかが切り分けられていく
「次の分出来たわ」
「綺麗に切れてるわね」
おばさんが楽しげに切り分けられたすいかを持ち、会場内を配って歩く
「後10人分お願いね」
さくさくと軽い音を立てて、すいかが切り分けられる
「はい」
力を入れなければ2つに割ることが出来ないはずのすいかは、セリスの手で簡単に切り分けられていく
効率の良さから、セリスには、すいかの切り分けが割り振られていた

夕方から続いた仕事がようやく終わる頃、収穫祭もまた終わりに近づいていた
毎年繰り返される出来事
………来年には、くつろぐ側にまわって見たいな
セリスの胸の内をささやかな願いが過ぎった

翌年
収穫祭で再びすいかを切るセリスの姿が見れた

 
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