異界


 
荒れた大地が続く
視界の隅にモンスターの姿が見える
人の生命を脅かす存在が当たり前に存在する場所
町を村を一歩踏み出せばそこは、人の場所ではない
だから……
誰もが皆、当たり前の様に戦って
自分達の命を守っている
………そうしなれば生きていけないから

今、すれ違った少年の手には武器が握られていた
まだ幼い子供
俺が暮らしていた世界では、アレくらいの子供は、大人に守られて何の危険も無く平穏に暮らしていたのに
ここでは、どんなに幼くても自分の身は自分で守らないと成らないんだ
命を落とす事が特別ではなくて
強ければ、強いなりに
弱ければ、弱いなりに
命落とす可能性が誰にでも、平等にある世界
悲しい世界
悲しい現実
でも、ここに住む人達は、これが悲しい事だなんて思っていないんだ
長い間、これが現実だったから
こんな風に生活するのが当たり前だったから

だからこそ、平和への憧れも強いのかもしれない
命の危険を感じる事無く過ごせる世界を、ナギ節を求める気持ちが強いのかも知れない
それが、どんな犠牲の上に成り立つものだとしても………

ほんの少し、この世界の人達の事が判った気がする
それでもやっぱり、理解する事は出来ないけれど………
 

 
END