時間
賑やかで華やかな街
夜遅いこんな時間でも、人の声が聞こえてくる
楽しそうな声に背中を押されて
気が付いたら、その扉を開いていた
無理矢理連れ出して
乗り気じゃない貴方の手を引いて過ごした一時
なんでもないふりをしながら
どきどきしている心臓や
いろんな感情を抑えてた
会話の無い狭い空間
園内を照らす様々な照明を見つめる横顔
手が届く程近い場所にいるのに、誰よりも遠い場所にいる人
小さな狭い空間に2人きり
つまらなそうって訳ではなさそうだけど、会話を忘れてしまったよう
やっぱり迷惑だった?
きっと、貴方らしいっていうのかもしれない
けれど…………
じっと見つめていた私の視線に気が付いたのか、彼がこちらに眼を向ける
大きな音と共に、窓の外に浮かぶ花火
打ち上げられる花火に視線が動く
――――綺麗
戻した視線が、同じように窓の外を見ていた彼を見つける
きっと、普通なら気付かない程僅かな時間
垣間見えた、知らない顔
たぶん、これが………
続けざまに上がる花火を眼にしながら、私は話をしていた
すぐに消えた明かり
慌ただしく動き出した人の姿
ほんの短い間の、小さな思い出
でもきっと、これは特別にはならない
こんどはもう一度
本当の貴方と―――
END
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