時々刻々と変化する、「24/7 G album」 全曲レビュウ。

01Bonnie Butterfly/02 永遠のBLOODS(G-mix)/03 Destination/04 世界中のみんなで…。/05 黒い朝・白い夜/06 消えない悲しみ 消せない記憶/07 薄荷キャンディー
08 Another Christmas/09 Virtual Reality/10 ORANGE/11 停電の夜には~On the night of blankout/12 どらごん・ろ〜ど/13 心に夢を君には愛を


01*Bonnie Butterfly
lyrics&music:井手コウジ arragement:米光亮,井手コウジ
* 英語コーラスが未だに覚えられないのが悔しい(覚えろ)。ドアタマのコーラスは光一さん、次の間奏のコーラスと後奏は剛さんが歌ってるのかな。 「love you」を「ろぉーびゅ」と歌ってるのは剛さんだろう。

* この曲のジャンルは「ダンスホールレゲエ」というんですか。知らなんだ。カスタネットとかメロディアスなアコギが耳に残るもので、最近のキンキさんのオトナっぽい曲路線の踏襲という感じもしてしまいますが、リズムで変化をつけてるわけなんですね。よく聴けばギター以外ほとんど打ち込みだ。嫌いじゃないです。

* "bonnie butterfly"って…キレイな蝶、という意味なんでしょうかね。でもGコンを見た後では、完全に「夜の蝶」というイメージ(笑)。アルバムジャケットにしても、Gコン後では通常版の白いパッケージよりも限定版のキラキラした黒のイメージが強くなっちゃってるなあ。

* 最初からこんなことを言うのもアレなんですけど、 ワタシはやっぱ「F album」がかなり好きみたいですね。内省的な雰囲気があって。

(06/7/22)




02*永遠のBLOODS(G-mix)
lyrics:浅田信一 music:堂島孝平 arrangement:ha-j
* 堂島孝平&浅田信一という、SMAコンビ入魂のコカ・コーラCMソング。CMとの相乗効果はバッチリだったと思います。しかしCM曲としては完璧でも、キンキの曲としてはそんなに好きでもないかも。ピンクのシャツに白いスーツで歌ってた姿は、サワヤカでとても素敵でしたけど。ティンパニとか入れられても…とか思ったり。これはアレンジの問題か。でも、どうも堂島ソングとのソリが悪くなってきたような気がする。うーん、「僕は恋するんだろう」がワタシ的には頂点だなあ。

* 浅田さんも、シングルということでメジャー感あふれる歌詞を意識したんではないかと。っていうかコカ・コーラですからね。それも当然でしょう。しかしよく読むと、「現在」を「未来の過去」ととらえて先に切なくなるところなんかはやっぱイイなー、と思います。浅田詞の「情けない」ところズキとしては。

* そういや光一さんが「Bメロが難しい」と言っていましたね。

(06/7/22)




03*Destination
lyrics&music:Gajin arrangement:DANCE☆MAN
* 「D album」に入ってる「ナンとかしましょう」に対して、 「DANCE☆MANばり」なんてコメントしてましたけど、ここにきて遂に本人にオファーですねえ。剛さんのファンク好きから入った一曲、という趣もあります。聴かせる系の曲がどんどん多くを占めていく中では、やっぱダンサブルな曲があると嬉しいですね。

* 今っぽくない70'sソウルということですが、 ギターが前面でずーっとペシペシいってる感じとか、確かにクラシック。 シブイ。

(06/12/17)




04*世界中のみんなで…
lyrics&music:周水 arrangement:Fredrik Hult,Ola Larsson
* 周水、結局ワンパターンじゃん!なんて毒づきながらも、結局聴き終わってみればこのアルバムで最初にハマっちゃった曲でしたね。この頃はイラク戦が激しい時節でしたから、有線とかにこの曲をばんばんリクエストしたら、もしかして反戦ソングとして特別な売れ方をするんじゃないかしら、とか思って実際しそうになったぐらいです。でも「世界に一つだけの花」がロングヒットとなりましたので、第二の反戦ソングの出る幕は結局なかったですね。

* 剛さんも光一さんも語りかけるような優しい歌い方で聴いてる方がホンワカしてきます。特に剛さんは、こういう歌い方さしたら国内で右に出る者はいないんじゃないでしょうか(?)。歌詞はストレート過ぎてちょっとイタいですけども、歌っている本人たちがそれをよく理解しているのでイタ過ぎない。北欧チームによるアレンジも淡々としててカッコイイ。救われます。それなのに、コンサではビジョンに世界中の子供たちの映像、みたいなんが流れたんだよねえ。ジャニーズ事務所ってベタだなあ。

* やっぱキンキと周水の作る曲の親和力ってのはスゴイものがあります。でもワンパだから提供していただくのは、たまに、にしておかないと危険かも。

(06/12/17)




05*黒い朝・白い夜
lyrics&music:堂島孝平 arrangement:知野芳彦
* 剛さんのソロボーカル曲。疾走感のあるギターロック。とてもよくできたJ-POP。…のハズなんですが、なーんかさーっと終わっちゃうんですよね。なんの引っかかりもなく。剛さんのボーカルのテンションのせいなのかしら。温度にすると6℃、とか、そんな感じの冷え加減。もうちょっとテンションがあるとどうだったんだろう。

* 歌詞を見ると、割と絶望的なシチュエーションにいるギリギリな2人のことを歌ってるんですね。白夜、っていうキーワードも含めてどことなく映画的。

(06/12/17)




06*消えない悲しみ 消せない記憶
lyrics&music:堂本光一 arrangement:佐藤泰将
* 「光一さん、チャレンジャーやなあ」というのが第一印象。フルオーケストラをバックに歌い上げる曲を自作しまうというのはものすごいことですよ。ちょっと聴いてて恥ずかしかったけど…。

* なんだかセルフライナーノーツを見ると、「時間がなくて大急ぎで作りました」的な言い訳になっているようですが…。時間がない余りに極端な方向に行っちゃったとか、そんなふうに理解すればよいのか(違う)。でも「SHOCK」で歌った時は、シーンにすごくハマってて、いい歌だなと思いましたから。ミュージカルナンバーとして楽しめばいいのかー、と勝手に納得してます。

(06/12/17)




07*薄荷キャンディー
lyrics:松本隆 music&arrangement:Fredrik Hult,Ola Larsson,Oystein Grindheim,
Henning Hartung
* もう間違いない!って感じ。KinKi Kidsの中期(勝手に決めちゃった…)を代表する名曲。ヤマタツソングでもないのに松本さんの詞をいただいてるんですから、変な曲だったら大変申し訳ないところですが。北欧チームがグッジョブっす。チームでの仕事って、複数の意見を調整しながら作るんでしょうね。やっぱ洗練のされ方が違う気がします。「薄荷」っていう言葉に対して、これしかないっていう感じの清涼感のあるアレンジも素敵。2人の声の重なり、大サビの盛り上がりもとても素晴らしい。もう賛辞しか浮かびません。

(06/12/17)




08*Another Christmas
lyrics:久保田洋司 music:Larry Forsberg,Sven-lnge Sjoberg,Lennart Wasttesson arrangement:ha-j
* 久々に聴いたらなんだかいい曲ですね。アイドルアイドルした曲のようですけど、キャッチーなの安っぽくもない。ちょっとだけ切ない。いいです。クリスマスソングって歌われる機会が非常に限られますから、なんだか勿体無いですね。よく見たらまたスウェーデンの人々が作曲かあ。「G album」って結構実験してるなあ。

* アコギのストロークも含め、字余りな感じがちょっと「全抱き」みたいな感じ、のAメロをもって評価したわけじゃないんです。やっぱサビ。歌詞ののせ方が巧みですよねえ。口に乗せるととても気持ちがいい。「♪Summer しだいにSeptember」なんてフレーズ、やられた〜と思いました。

(06/12/17)




09*Virtual Reality
lyrics:double S music&arrangement:松本良喜
* 大好きですね。ここ数年の光一さんのソロナンバーでは1番です。好きな理由の一つは、「バーチャルリアリティ」という題材のオタクさ加減(爆)。「ユウナか?ユウナを思うてんのか?!」と一人で盛り上がりながら聴いてしまいました。取りようによっては完全に危ない人の歌詞にも読めるんですけど(そしてワタシはそれでも全然OKなんですけど)、まあ、「ここにいない人」を思う気持ちをテクノロジーというパッケージで包むとこういう表現になるんだろうな。

* なんつったらいいのか、全編に入っているポコポコした電子音とか、無機質な感じを強調したアレンジもいいですねえ。サビの下降していく重低音ベースはすんげーカッコイイっす。ライブでも非常に印象的な音でした。その中でふと入るピアノや女性コーラスの生っぽさが際立ちます。特に女性ボーカルは非常にセクシーで、この人のことを光一さんは思っているんだろうなあ、と思わせるわけですが、歌っているのは浦島りんこ姉さんなんですねえ。イヤン。

* これ聴くとしばらく「ぼくにきゃさなり」というフレーズが抜けなくなる。

(06/12/17)




10*ORANGE
lyrics&music:堂本剛 arrangement:吉田建
* 今だから言える言い方ですが、「ROSSO…」後、「si:」前、っていう雰囲気がすごく出てる曲です。そもそも03年当時、今に比べて「声が若い」ってのも大きいんですけど、曲全体のピリピリしたストレートな感じというか、生な感じというか。どこに行きたいんだって感じというか。突然のジャズアレンジというか(剛の要望にバンマスが素直に応えたんだろうけど。DMBB勢揃いだし)。でもこの時の剛でしかできない曲だってのは間違いない。剛さんの作る曲ってホント面白い。

* 剛さんは夕陽をよくモチーフとして使いますね。特に意味を持って夕陽を見たことがないので、「混沌としたこの時代を象徴するような儚さがある」とか言われてもちょっとピンとこなかったのですが…。成熟社会に突入し、文明も折り返し地点を過ぎている、みたいなことを言いたいのかな(違う)。黄昏時のように、何が良くて何が悪いのかがよく見えなくなってる昨今、みたいなことかしら。でもそんな社会的なテーマはこの曲には入ってないですよね。

* ワタシは個人的に時代とかなんだとか関係なく、剛さんの回顧主義のあらわれなんじゃないかと思ってるんですけど。だって夕陽って、「あー、今日も終わっちゃうなあ」って時に見るものでしょ。「さー、これからやっぞ!」じゃなくて「楽しかったのになあ(終わっちゃった)」って思いで。昔の「一番愛したあの人」のことを思い出して、「あんな恋はもうできないよなあ」ってずーっと思い続けてる感じがすごくします。「あの人」はこの世界を抱きしめて強く生きていっているのに、僕は…っていう。あーもう、じれったい(笑)!

(06/12/17)




11*停電の夜には -On the night of a blackout-
lyrics:秋元康 music:Mats Persson,Christer Schill arrangement:Mats MP Persson
* サビのフレーズが不思議ですね。どことなくオリエンタルというか。力強さもあるし、広がりもあるんだけど、なんか名曲になりきれない。「惜しい」感じのする曲です。

* その要因の一端は歌詞じゃないかなあ。個人的に大の秋元嫌いなので。「シンプルなラブソングを」というオファーなのにさー、妙に凝ったシチュエーション持ってきてさー、なんか考えオチ、というか、一人よがりなんだよなあ。

(06/12/17)




12*どらごん・ろ〜ど
lyrics:Satomi music&arrangement:松本良喜
* このアルバムの中では最もアイドルアイドルした曲ですね。しかし何故にチャイニーズテイスト?中国を舞台にしたアニメの主題歌とかならわかるが…この時期のキンキにはもう必要ない曲だったような気がします。

(06/12/17)




13*心に夢を君には愛を
lyrics:Satomi music&arrangement:松本良喜
* 「フラワー」、「夏の王様」、という過去に成功したサマーソング路線を踏襲しているのはアリアリとわかるんですが、ワタシはこの曲が一番好き。この曲のサビを聞くといつも涙が出る。なんでこんなスチールドラムとかがパカパカ入ってる曲で泣いてんのか自分でもよくわからないんですけども。なんか…KinKi、よくやってるよね、辛いこともあったよね、頑張ってるよね、これからきっといいこと沢山あるよね、とかそういう思いがこみ上げてきてしまうんですよねえ。自分のことじゃないですよ。KinKiさんが、です。激イタなのはわかってます。

* どうしてなんだろうなあ。剛さんのボーカルのテンションの低さとかに、逆にやられるのかもしれない。「G album」って通して聴いてみると剛さんのテンションがやっぱちょっと低い。ような気がする。いろいろあった頃なんだろうけど…。だからこそ、「そのままで大丈夫」って励ましに満ちてるこの曲が非常に沁みます。ライナーノーツ見ると多分KinKiさん自身もそういう風に感じてたなんじゃないかなと。

* このアルバムをもって「KinKi Kids 2003」という一連のプロジェクトが終了したわけですが、なんというか、「洗練」みたいなのがテーマだったのかなあ。「F album」が本人達の関与を増やして、結果内省的になってしまったのに対して(全然嫌いじゃないですけど)、海外の作曲家に多数曲を依頼したりして、もっと開かれた音楽の世界を志向してみたって感じかなあ。うーん、でもちょっとハマらなかった部分が多いような気がする。

(06/12/12)


以  上