時々刻々と変化する、「i album -iD-」 全曲レビュウ。

01 真冬のパンセ/02 藍色の夜風/03 SNOW!SNOW!SNOW!/ 04 iD -the World of Gimmicks-/05 Love is the mirage.../06 futari/07 Get it on/
08 Black Joke/09 夏模様/10 Parental Advisory Explicit Content/11 Night+Flight/12 Harmony of December/13 Love is...〜いつもそこに君がいたから〜


01 真冬のパンセ
Lyric:浅田信一 Music:石塚知生 Arragement:CHOKKAKU
・ パンセとは「考えること」。 冬の夜道を歩きながら、心に去来するよしなしごと(笑)を歌にしているといった感じでしょうか。とても内省的。やっぱり浅田さんの詞だわ。しかしそれがこんなふうなアップテンポな曲に載っちゃうと、とっかかりがないというか。感情移入のしどころがないというか。妙に焦燥感に駆られる感じもしちゃいます。

・ 2コーラス終わりの間奏の入りがたまらない。♪丸い月〜、ってところ。それにしてもKinKiはやっぱり太陽というより「月」ってイメージなんですね。

(07/12/24)




02 藍色の夜風
Lyric:上田ケンジ Music:本間昭光 Arrangement:家原正樹
・ フォルクローレのような雰囲気。歌詞にも出てきますが、「おとぎ話」、まさにそんな感じ。「東京」という固有名詞とのミスマッチ感がいいです。都会のおとぎ話だね。「♪つけたまま」とか「♪どこへ行く」ってとこの、まさかの上昇音階がとても気持ちいいです。

・ 漆黒の闇は決して訪れない、東京の夜。それを「藍色」と例えるところがとても美しいですね。月との親和性も高い(また月が出てきた!)。上ケンさんの詞、好きだなあ。ロマンチック男子だと思う。

(07/12/24)




03 SNOW!SNOW!SNOW!
Lyric:秋元康 Music:伊秩弘将 Arrangement:家原正樹
・ サビの盛り上がり方が抜群。KinKiさんは折角声域が広いんだから、シングルではこれぐらい高いキーの曲を歌った方が良いッスよ!

・ サビアタマからAメロへの転調具合も小気味良い。それからAメロの途中からベースが入ってくるところも好き。2コーラス目のAメロのアレンジも変化しまくりで、とても贅沢な音になっていると思います。

・ 秋元さんの詞は再三言ってますが個人的に好みじゃないです。でも、この詞はなんだろう、男子の誠実さがあってイイと思いました。情感こそないけど。悲恋なんだろうけど、情より理が勝ってる。女にカッコ悪いところを見せるのが大嫌いなんだろうね秋元氏は。そういうのがすごく出てるんだよなあ。

(07/12/24)




04 iD -the World of Gimmicks-
Lyric:篠崎隆一 Music:大智,宮崎誠 Arrangement:十川知司
・ 光一さんソロ曲みたいー。っていうか「Virtual Reality」を連想するだけなんですが。デジタルな符牒が散りばめられてるところがね。しかしアレに比べれば音自体はそんなにピコピコしてるわけでもないんですね。

・ 歌詞の世界観は、「マトリックス」的な、現実がすべてシュミレーションかもしれないという、デジタル化された存在論的な懐疑と解していいもんなんでしょうか。でもそんなハードな曲調でもないんだよなあ。リアルな世界をデジタルな用語で読み替えただけの、言葉遊び的なものなんでしょうかね。確かにアイデンティティを「ID」と読み替えてみたとき、そんな気分にはなります。アルバムのタイトルチューンでもあるし…とかいろいろ考えてみたけどしっくりくる答えがありませんでした。無念。

・ 剛さんの下ハモはやっぱいただけないなー。悪目立ちしちゃって全然キレイじゃない。主役声だからねえ…。

(07/12/24)




05 Love is the mirage...
Lyric:Satomi Music:松本良喜 Arrangement:十川知司
・ このアルバム一番の問題作。アダルティ…なんてもんじゃない。なんでこんなにエロいのかっ!歌詞はそんなでもないんですけどね。一つ一つの音が退廃的で、何か聞いててざわざわします。イントロの三三七拍子とか(笑)、「unreal proof」っていう剛さんの歌い方とか。不快に感じるギリギリのところを行ってますよね。確かにエッジだ。良い子には聞かせたくないな。これは多分剛さんにとってはホメ言葉なんじゃないかと。個人的にはそんなに好きでもないけど。

(07/12/24)




06 futari
Lyric:堂本光一 Music:堂本剛 Arrangement:吉田建
・ 浮遊感のあるメロディー。すごく素敵。アレンジも広がりがあってイイ。ちゃんと宇宙が見える。バンマスアレンジってなんか「無難」って感じてしまうことが多いんですけど、これはイイっす。

・ だからこそ詞が悔やまれますね。剛さんは、広い宇宙の中で2人が出会えたという、何気ない奇跡(「Harmony of December」のジャケットコンセプトそのまま!)を曲にしたらしいですが。光一さんは別れの詞を書いてきたという…。剛さんはそれはそれで良いとか言ってましたけど。

・ でもどっかに、言わなくても光一さんはわかってくれるんじゃないかと、そんな夢を見てたんじゃないかしら。残念だけどそれは奢りに近い。ちゃんとイメージを伝えて、そういう詞が出来てたら、間違いなくこの曲はファンにとっては神曲になったと思うのですよ。良い曲だもの。

・ このアルバムは1曲1曲にテーマカラーがあるようなんですが(ブックレットの曲名のところが全部違う色になっている)、この曲はやっぱり「紫」でしたね。

(07/12/24)




07 Get it on
Lyric:白井裕紀,新美香 Music:井手コウジ Arrangement:鈴木雅也
・ 「光一がこういう曲が欲しいって言ってるんだけど…」という、スタッフから井手さんへの電話一本でできたという曲(笑)。いやー、KinKiって大御所。発注どおりのライブ向き、とにかく騒ごうぜ!という何ともシンプルなヤンキーメッセージ。こういうの光一さん合う。コーラスワークをはじめアレンジはすごく凝っててめちゃカッコいいッス。何度聞いても飽きない。

(07/12/24)




08 Black Joke
Lyrics:前田たかひろ Music&Arrangement:U-SKE
・ サウンド的にはめっちゃヒップホップでかっこいいトラックなんですが。詞が余りにも具体的すぎてそこにしか目がいかないという。そここそがファンには人気みたいですけど、ワタシは気恥ずかしくてダメですねえ。こんなジョークを言い合えるサッパリした関係には、いくら一線を越える時がきたとしても萌えません(笑)。

(07/12/24)




09 夏模様
Lyric:Satomi Music:林田健司 Arrangement:佐久間誠
・ 最初は「陽水の『少年時代』風?」「流行りの沖縄風?」なんてちょっと皮肉って聴いてたんですけど。時間が経つ程になんて良いメロなんだろうと思い始め、今に至ります。名曲。♪蝉時雨の波 追いかけてた、の「た」のところコード進行なんてかなりタマラナイです。泣ける。アレンジが全然違っても良かったと思う。ハモリも素敵です。KinKiは冬コンばっかりだからあんまり歌われないのがとても残念。夏コンやろうよー!

(07/12/24)




10 Parental Advisory Explicit Content
Lyric:Satomi Music:林田健司 Arrangement:吉田建
・ タイトルは「親への勧告 - 露骨な内容」という意味だそうで。アメリカでは過激な内容のCDにこういうラベルを貼るとのこと。知りませんでした。

・ 光一さんのボーカルが、勢い余って後半大変なことになりかけているのが聞き所の一つだとも思うのですが(笑)。しかしこういう曲の楽しみドコロが今ひとつわからないワタシ。ライブでガーッと盛り上がるのかというとそうでもないしね。詞は確かにエロいが。♪噛み合わせ度合いがいいと 燃えて燃え尽きちゃうよ、とか。「噛み合わせ」って言葉はすごくイイ。

(07/12/24)




11 Night+Flight
Lyric&Music:Gajin Arrangement:佐久間誠
・ 大好き!このアルバムでは一番好きです。とってもオシャレで小気味よいポップス。ビート良し!メロ良し!歌詞カワイイ!サビのユニゾンの爽快感アリアリ!ヤマタツの曲みたいな完成度の高さです。褒め言葉しかなくてコメント短っ。

(07/12/24)




12 Harmony of December
Lyric&Music:マシコタツロウ Arrangement:ha-j
・ サビの抜けが抜群!とか、キャッチー!とか、めっちゃ切ない!とか、そういうのはないんだけど、しみじみと良いなあと感じます。「佳曲」という言葉が合う。こういう曲をまたシングルに選んじゃうってのがすごいですよね。KinKiならでは、っていうところを大事にしてるんだなあということが伝わってきます。確かにKinKiじゃなきゃ歌えないというか、歌わない曲だと思います。

・ 曲を書いたマシコタツロウさんは、一青窈の「もらい泣き」とか「ハナミズキ」を書いた方なんですね。ヒットメーカーじゃん。アレンジは二胡が入ってるかと思えば、間奏は聖歌隊だったりと何とも無国籍なんですけど、流石に上品な仕上がりです。

・ ちなみにこの曲のタイトルはジャニーさんがつけたそうです。ニクい。

(07/12/24)




13 Love is...〜いつもそこに君がいたから〜
Lyric&Music:成海カズト Arrangement:garamonn
・ イントロからポロンポロンと鳴る、高音の儚げなギターがたまらないですね。心の琴線に触れずにはいられない。ワタシにとってこのギターがこの曲の魅力の半分を占めてます。ゆっくりすぎずテンポがあるのもイイ。

・ あと半分はサビの2人の掛け合いですよね。2006-2007の冬コンで聴いてとても感動しました。高音をスコーンと歌いきるトコロは、光一さんの声の良さが出てるし、剛さんのファルセットはとても優しいです。ユニゾンは全然ないんだけど満足感あります。

・ 「だから、結婚しよう」ってことを1曲かけて別の言葉で表現しているような曲。「Harmony of December」から続けて聴くと、あの歌の中の2人がこうなったのかな…とか想像しちゃいます。甘々だー。

・ 「こんなに優しくなれたのは君がいたから」って詞はいいですよね。君がいたから今の僕がある。そのことに感謝したい。…それを光一さんが歌うところがまた激ツボです。

(07/12/24)


以  上