時々刻々と変化する、「ROSSO E AZZURRO」 全曲レビュウ。

01 さよならアンジェリーナ/02 Purity/03 GORASOLE/04 歩き出した夏/05 We never know/06 街/07 花
08 Panic Disorder/09 溺愛ロジック/10 Luna/11 あなた/12 心の恋人/(BONUS TRACK Hey!みんな元気かい?)




01*さよならアンジェリーナ
lyrics&music:堂本剛 arrangement:堂島孝平×GO GO KING RECORDERS
* ドアタマの「さよならアンジェリーナ…」という語りがアイドルしてるなー、と思いきや、続いて流れてくる音はなんとも粘っこい(笑)。「爽やかさ」のカケラもない。アイドル・堂本剛へのアンチテーゼとしてのアルバム、その冒頭を飾る曲としてはとてもふさわしいんじゃないでしょうか。

* 個人的にこの曲は「悪い剛の歌」と呼んでます(笑)。どのへんが悪いかっていうと、「誰か抱いてみようか」っていうトコが明らかにうさ晴らし、もしくは離れていった彼女へのあてつけであるうえ、続く「お前だけの俺を見せてやろうか」っていう台詞は、たぶんその気晴らしに抱く女をオトす台詞なんですよ。つまり嘘。そして違う女のことを思って抱いた後、ボロ雑巾のように捨てるんですよ!これが悪いと言わずしてどうする!わはは。なんかこう書くと極悪非道(笑)。でも、単にヒドイって言い方でなく、恋が思うに任せなくって内向きに自暴自棄になる、という言い方にすれば、あながち剛に程遠いキャラではないのかな、とも思います。

* まあ、「お前だけの俺を見せてやろうか」ってところはもうちょっと違う読解も可能なんですけどね。面白いのでワタシはこういう解釈です。(04/1/29)




02*Purity
lyrics&music:堂本剛 arrangement:知野芳彦
* 00年夏コンソロ曲。一人称が「僕」なのはちょっと違和感がありますね。「俺」って感じの曲なので。

* 「Purity」はプリティではなく、「超純粋」という意味(らしい)。昔の純粋さを失った自分への苛立ち、というのが歌によく出てる。実は、そういうふうに苛立つってことがまた純粋さの証拠なんですけどね。しかしこの曲、そこまでは理解できるんですけど、そこから「ただ一人 僕はおまえだけ信じて 愛して しゃぶって キスしてたい」っていう言葉によって歌が収束していくんですよね。それが聴いた当時からわからなかった。どーゆーふうにつながるんだろー?って。

* うーん、「おまえ」を信じる純粋さだけは失わないぜ、みたいなことなんだというふうにも読めますけど…。でもこの「愛する」は、純粋さをもったある意思、というよりは、多分に双方向な「状態」を表す感じなんだよなあ。まったりした空間への逃避のように聞こえる。だからつながらない気がしたんでした。

* それにしても「しゃぶって」は…剛さんの名台詞ベスト5に入りますね。あと入るのは「苦くて飲めない」と、「脈打つ限り」。←エロベストか(笑)。

(04/1/29)




03*GIRASOLE
lyrics&music:堂本剛 arrangement:林部直樹
* 女性視点の曲ですね。出た!あなた様(笑)!剛といえば女性視点、という気がしてたんですけど、このアルバムでは数えてみたところ12曲中2.5曲といったところか。思ったほど多くはないんですねえ。

* 確かソロコンの横アリで、当初のセットリストにはなかったんだけども、翼のリクエストでやってくれたということがありました。それにしても短い曲だ。

(04/01/29)




04*歩き出した夏
lyrics&music:堂本剛 arrangement:鶴田海生
* 「Purity」と同様、00年夏コンソロ曲。この曲のとき皆で折ったたくさんの紙飛行機が舞わ…ずにバッタのように墜落しましたよね(笑)。あのときの紙飛行機の色が黄色だったので、個人的にこの曲のイメージカラーは黄色です。

* このアルバムの中では剛さんの声が一番男前だと思います。でもコンサート(00年夏コン、ソロコン両方)で聴いた時の方がいい歌だったなあ。そういう意味で剛さんは実はライブ歌手なんですよね。

* この歌、前半では 「守りたい」と言っていながら、サビでは「愛して」って言ってる。そして最終的に聞き手に残るのはやはり「愛して」っていうメッセージなんですよねえ。ほんわかと二人でどこまでも行きたい。けど自分はいろいろ変わっていくかもしれない。その全てを受け入れて欲しい。しかも自然体で。…結構言われてる方にとっては無理難題かも(^_^;)。だからたぶんこれは「…だといいなあ」ぐらいの「愛して」なんだろう。剛の理想の恋愛のカタチなんでしょうねえ。

(04/01/29)




05*We never know
lyrics&music:堂本剛 arrangement:知野芳彦
* 99-00年冬コンソロ曲。ドームの高ーいやぐらみたいなところで歌ってた(歌わされていた)のが印象的ですね。UKっぽい仕上がりを目指した、と自分で紹介してました。その時は正直言って「ふーん」で終わってた曲なんですが、改めて聞くとなかなかの佳作ですね。ニュートラルな気持ちで聴けて、よくできてる。

* そう思う所以は、この曲がまだ客観性を持って作られたからなんではないでしょうかね。剛さんの曲って、根本では変わってないと思うんですけど、やっぱり「Panic Disorder」あたりから、内面をずるっと出すよう曲が多くなってきたと思う。この曲はそういう転換点のちょっと前にあるんじゃないかな。99-00年冬コン「We never know」、00年夏コン「Purity」、00-01年冬コン「Panic Disorder」と並べていくと、そのグラデーションがとてもハッキリする。だから聴いてて痛くなくて、他人事みたいに「よくできてるなあ」なんて感心することができるんだろう。うん。今の剛さんの曲はもう「よくできてる・できてない」では語れませんからね。「好き・嫌い」でしか語れない。

(04/1/29)




06*街
lyrics&music:堂本剛 arrangement:新川博
* 02年春リリースの初ソロシングル。光一さん曰く「ガイ」(笑)。聴いてると「時代」とか「少年」とかいうタイトルでもいけたよなあ、なんて思ってしまいます。それだけ抽象的というか、アイドルっぽいですね。だからファンとしてはイマイチ面白くないんですけど。シングル曲だけあってクオリティはやっぱり一番高い曲なんじゃないでしょうか。

* 「このカラダまだいけるさ ゲームはまた終わっちゃいないさ」ってトコが好き。街とか、時代とか、いろんなものに負けそう、つーかもう負けてることは認めざるを得ないんだけど、鈍感なまま生きていきたくない、っていう、ネガティブな中にポジティブさがある詞だと思います。

(04/1/29)




07*花
lyrics&music:堂本剛 arrangement:鶴田海生
* 99年夏コンソロ曲。軽快なパーカッションアレンジによって、いい小品に生まれ変わったなあ、という印象ですね。「二人ならば咲けるでしょう」をずっと「避けるでしょう」だと思って聴いてた。3年越しに誤解が解けました。わはは。

(04/1/29)




08*Panic Disorder
lyrics&music:堂本剛 arrangement:知野芳彦
* 00-01年冬コンソロ曲。当初のタイトルは「パピュ〜ン」でした。前でも書きましたが、剛の曲作りの転機になった曲だとワタシは勝手に思ってます。一つの「到達点」というか。たぶんね、当初は自分の病名がわかって嬉しくて作っちゃったんだと思うんですけど(爆)。敢えて曲のタイトルを伏せてたのにもそれが表れてると思うんですが。でも、これを作ることが剛にとってある種の癒しになったんだろうし。曲作りに身を投じていく強い動機、ってのが、やっぱりこれで改めて生まれたんだろうなと思うんですよ。

* それだけあって、コンサートで聴いた時は剛の世界観が会場を支配する感じを初めて味わいましたね。内面が外に向かってザァーッて流れ出していくようでした。冬コンのあの場面は感動的でした。

(04/1/29)




09*溺愛ロジック(New Mix)
lyrics&music:堂本剛 arrangement:白井良明
* 女性視点の詞ですね。そうか、苦くて飲めないか!…普通飲まねえけどな。

* Mステにおいて自分で歌詞の解説みたいなことをちょっとやってましたけど、確かにここに出てくる女性は奔放で男を振り回しまくり。しかし振り回すのは、自分をなすがままにして欲しい、っていう願望の裏返しなんですよね。「アナタが好きだからアタシこんなこともできちゃう」みたいな。それを証拠に「操作」という言葉が出てきます。実はこの言葉「GIRASOLE」にも出てくるんですけど。操作されたい願望が強すぎてエキセントリックな行動に走るって感じでしょうか。そう考えると「女らしさのカケラもないのアタイ」というよりも「オンナオンナしてるのアタイ」という感じ。つーか境界例の恋愛パターンだよ(^_^;)。

* なんにせよ歌詞の文字面を追うのが楽しい曲には違いない。「命尽きるまで情熱のアゲハ蝶がアタイの為に舞うなんて言うんだもん」なんてフレーズは大変キュートでもあり、美しくもある。あ、「なんてね」ってトコは太宰を意識したのかしらー、なんことも思いましたけど、(笑)がその後ろについてる時点で違うか。

(04/1/29)




10*Luna
lyrics&music:堂本剛 arrangement:堂島孝平×GO GO KING RECORDERS
* 皆で盛り上がり系な曲が皆無に等しかったソロコンでは、後半この曲にかなり救われた感じがしました。この勢いはライブでは勿論ウェルカム。CDでは勢いだけで突っ走りがちな歌を、確かなホーンアレンジがちゃんと支えてますね。

* 曲調だけで激しい歌なのかな、と思いきや、詞の内容は激情とは程遠い片思いの歌というのが剛らしいのかも。告白もできない「30℃の恋」。ぬるいぞ。

(04/1/29)




11*あなた
lyrics&music:堂本剛 arrangement:林部直樹
* 01-02年冬コンソロ曲。ワタシ的にはこのアルバム中のベストですね。ワタシの中ではこの曲が剛の代名詞になってます。歌詞もさることながら、「時が〜、あ〜ああ〜」っていう上昇音がすごくくせになる感じで、耳に残るメロディーでもある。

* これは女性視点なのかどうか微妙なんですよね。歌詞をみると、「切った髪 意味を持ってそうで 綺麗だねと正直に喉から零れなくて」というフレーズだけがしっくりこない。あとは全部女性っぽいなあと思うんですけど。うーん、レズ視点と考えれば納得いくわ!解決!←オイ。

* 「あなた」に「様」をつけるこの感覚。単に丁寧っていうんじゃなく、念の強さみたいなものがこめられててちょっと怖くすらありますねえ。「あなた脈打つ限り」っていう歌詞も、「あなた」が脳死状態になったとしても絶対死んだとは認めないんだろうなあ、とか妙な深読みをさせます(笑)。こういう人に「一人で生きろ」って言うことは「死ね」というに等しいんだろうな。剛の女性視点に出てくる女性はとってもサイコですねえ。だからこそ可愛らしいし、哀しいんだろう。

(04/1/29)




12*心の恋人
lyrics&music:堂本剛 arrangement:石塚知樹
* アコギとストリングベースとピアノとドラムというシンプルな構成ですが、アイドルのアルバムとしては音的に一番冒険してるのかなー、とも思います。ジャジーな雰囲気で。聴けば聴くほど味わい深いッス。

* 詞の内容も思わせぶりというか、ハッキリどうこう書いていないぶん、聴く毎にいろんな意味が見えてくると思います。ワタシのファーストインプレッションなんてヒドイもんで、勝手に「ストーカーつよしの歌」と呼んでました(笑)。彼女の心が離れて行っちゃったのに、「僕は待つよ、君とのベイビーが見たいから」って言ってるように聞こえて、「…コワッ!」とか思ったんですけど。だって「心の恋人」だし。

* でも改めて考えるとちょっと違うのかな。好き同士なんだけど、忙しいとかいろんな要因であんまり会えなくなってて、彼女に別の男の影が見えてきて、でもそれを敢えてハッキリさせない方法で乗り越えようとしてる…みたいな感じなのかな。うわー、そう考えると非常にプライベートでリアルな恋愛の歌ですねえ。

(04/1/29)




以  上