2013のSHOCKは初見。ビバリオーナーは母の優しさでした。しかしトップの孤独を身をもって経験しているという点では、コウイチに最も近い存在となった。 ウエクサオーナーよりも。

好みでいえば、やっぱりウエクサオーナーが好き。ウエクサオーナーが加わったことによって、SHOCKに「コウイチは一人じゃない」という強いメッセージが与えられたと思うんです。 これは役柄を超越した、メタレベルでの愛ですよ。カッちゃんから光一さんに対するね。 その愛。事務所の先輩だからってだけじゃない。こんなことができるのはカッちゃんだけだ。 だからオーナー役はずっとカッちゃんでいって欲しいなと思ってたんですが…ビバリオーナーも素敵でした。 ウエクサオーナーほど、コウイチのみに心が向かってないというか。カンパニーみんなのお母さんという感じで、フェアな印象を受けました。

そして、全体的なストーリーの印象も、「コウイチという孤独な魂の救済の物語」から、「絶対的存在を失ったカンパニーの再生の物語」にシフトした感じを受けました。 元々そういう要素は強かったですけどね。シフトしたというより、多面性が増したのかもしれない。コウイチが戻ってきたのは何故か。 カンパニーが前に進むため?ヒロキを許すため?コウイチの魂を救うため?どれかひとつではなく、全てを丸くおさめるための神様のギフトだったのだろうと。

それにしても「ONE DAY」は、くるぞくるぞとわかっていながらも、やっぱりクるなあ。「ミュージカルって突然歌いだすの変じゃね?」というタモリ派だったのに。 その突然に心動かされんだよな。あと光一さん歌上手い。オレは桑田か。

トラヴィスの新たな振付ナンバーすごかった。「DOA」は確実に膝をやるね。みんな大丈夫なのか。 「MUGEN」はヒロキとのペアダンスがあまりにストーリーとシンクロしてて驚愕した。ヒロキがコウイチを操り人形のように動かす振付とか。コウイチを動かしているのは結局生者で、コウイチに前に進めない自分の思いを託してるんじゃないか、とか私も考えてたので。 トラヴィスの理解力ハンパねえ。あと「HIGHER」。中盤、コウイチが踊りながら楽しくてしゃあないって感じで、かはあって笑うの。こっちまで嬉しくて何か涙でた。

あと「リチャード三世」まで光一さんがやるとは。ずっと、「オレだったらこうする」という演技プランをもってたんだろうな。シェークスピアでは一番はまってたと思う。余談だが「ハムレット」では「その胸に剣を!」ですごい霧のようなしぶきが飛んでた。

「SOLITARY」の帽子取ってからの表情もすっげかっこ良かったなー。目が離せなかった。

1部の殺陣シーン、光一さんだけ追ってると、そんなに斬りまくっているわけじゃないんだけど、鉄砲で撃たれてからがすごい。 斬られて吹っ飛んで床をゴロゴロを繰り返す。このシーンこんなに激しかったっけ?終盤にキツいのを足してくるって、アスリート感覚だよね。 フィギュアでいうところの終盤のジャンプは加点、みたいな。2幕のジャパネスクのフライング3連発もそんな印象をうける。 いや、以前からこの構成だったはずなんだけど、トラヴィスのダンスが入ったことによって、畳み掛ける感が増している。

コウイチの最後のショーの場面は、以前は「やり切ってやる!」という気合いに満ち満ちていたように思いますが、今や一切の気負いがない。 それどころか、時折心がからっぽのようにも見える。毎公演ビデオチェックするという光一さんのことなので、集中してないとかそんなことでは勿論ない。むしろ逆なんだと思う。集中しきっているからこそ。そして余計なことなんて一切考えられないくらい、精神的にも肉体的にもキツいからだと思う。 ただただ、自分の心が向かう、自分のすべきことを、何の欲得もなくやり遂げようとする姿。純化された魂がそこにありました。その魂に触れて、カンパニーが再生していく。その姿をみて、コウイチ自身も、還るべき場所に還っていける。大竹まことがSHOCK見て「魂」という言葉を使ったのがとても理解できた。

それにしても、忘我の先のこの境地。1000回の先にある境地。光一さんの表情には、色気というより、凄味を感じました。 ここ1、2年のSHOCKの光一さんには色気を感じていたのですが、それもちょっと違っていたのかもしれない。自分が決めたのか、 周りが決めたのかはわからないけど、もう、そうするしかない。運命を受け入れきる魂のありよう。哀しくも気高い。凄い、という形容が一番ぴったりくる。

あと米花、町田がいなくなったSHOCKでもあったんだな。正直、芝居にはそれほど支障はないかもしれない。 しかし、「HIGHER」にあの2人がいないのは本当に残念だった。あとリカは、小柄な優木まおみにしか見えなくて困った。エロ賢い雰囲気も合わせて。あと「ONE DAY」は、あまりにサヤカの歌が強すぎて、その印象が払拭できない。あの声すげえなと今さらながら。 そして「SHOCK GaIa」とかやってほしいな~、なんて思った。過去の名曲もいっぱいあるしね。

9月のSHOCK。半袖で見るSHOCK。大阪で見るSHOCK。「新鮮だよ!」とジャニーが言ったのも頷ける。博多座より正直やりにくそうですけどね。 夏だけど光一さんもげっそりしてなかったし。行ってよかった。 まあ結局はヒガシ祭りにもってかれた。そんなオチ。



以 上



Endless SHOCK 2013


@ 梅田芸術劇場, 2013.09.07