§4情報とデザイン
・デザインとは、諸々の条件下で、目的物を設計し、製品化出来るように計画する事。
⇒⇒⇒その条件の中に色々な意味での情報が含まれている。
・その中には、『必ず押さえなければならない情報』と、『一応踏まえておいた方がよい情報』(流行とか、社会動向など)がある。
※1970年(昭和45年):大阪で万博が開かれた。
・ドイツ文化振興財団の主催するデザイン講演会に出席した時。
→→→スピ−カ−⇒ブラウン社の主催するデザイン第一線デザイナー2.3名が担当。
→→→日本とドイツのデザイン事情について意見を交換する事になった。
・質疑
「あなた方がブラウン社でシェーバーのデザインをする時、消費者の要望や意見をマス・デザイアとしてどう受け止め、どうデザインに反映させているか」
・予想の応答
「世界の工業デザイン界をリードする西ドイツのブラウン社の事だから、おそらく消費者情報などは、コンピュータ処理でPOS分析して、それをベースに合理的で洗練されたデザインに繋げて行く」
・応答
「私達は一切マス・デザイア等を気にしない。何故なら我々は、大衆より優れた感性と豊かな経験があるからで、自分達が『こんなものが欲しい』『あったらいいな』と、思う物は、自信を持ってつくるだけだ。世間の声やマス・デザイアが気になるというのは、そのデザイナーに自信がないからだ。」
※ヨーロッパのデザイナーは、服飾デザイナーにしろ、ウィンドーディスプレイの専門家にしろ、自己主張が強く、こうしたスタンスが一貫している。
●デザインの領域とデザイナーの資質
<領域と資質>
・デザイナーの係わる領域…日用品、音響機器、情報機器、医療機器、産業機械など、工業製品のデザインから、食料品、化粧品などのパッケージデザイン、カタログ、ポスターなどのグラフィックデザイン、そして公共空間、環境デザインやC.I(コーポレート・アイディンティティ)計画など、その範囲は多岐に渡っている。
・デザインの領域…商品デザイン、コミュニケーションデザイン、空間デザインから
企業の経営戦略や地域振興、福祉といった非産業的領域へと拡がりを見せている。
・デザイン業の提供する業務内容…大規模なプロジェクトのプロデュースから企業の経営に関わるコンサルティングやブランド政策の立案、商品の企画、開発、販売促 進段階でのディレクション、そして具体的な商品や販促物、スペースなどの設計、詳細仕様の決定、図面やスケッチ、版下原稿の作成に至るまで、重層で多様であり、単一の専門職として捉える事が困難となりつつある。
・市場の国際化…産業の高度化、生活者ニーズの多様化などデザインを取り巻く社会環境が変化している中にあって、知的創造活動としてのデザインに対する新たな役割と期待が高まりつつある。
<<デザインの領域>>
□物に係わるもの□
1.工業製品---音響機器、情報機器、輸送機器、一般機器、医療機器、福祉機器、スポ−ツ用品、教育用品、事務用機器、日用品。
2.テキスタイル---生地、カーテン地、絨毯、地、壁紙等。
3.ファッション---衣料等。
4.ジュエリー---宝飾品、身辺雑貨等。
5.クラフト---(日常生活用具を対象とした少量生産品)クリスタル、鉄、木、漆、土等を用いた食卓用具、装飾品等。
6.パッケージ---缶、ボトルキャリアー、容器、紙袋等。
□視覚的に訴ええるもの□
1.グラフィック---ポスター、雑誌等の広告、包装紙など。
2.タイポグラフィ---活字の書体等。
3.編集---書籍、雑誌、パンフレット等。
4.映像---TVCM、コンピュータグラフィックス等。
5.ディスプレイ---ショーウィンドウ等。
6.サイン---標識、看板、シンボルマーク等。
7.イベント---博覧会、展覧会等の企画、設計。
□環境を扱うもの□
1.インテリア---建築物内の空間設計など。
2.ライティング---建築物内照明、都市景観照明等。
3.環境---建築物を含む外部環境・地域開発・音・光の企画等。
<<デザイナーに求められる資質>>
※デザイン…美意識持って望むものである。
・文化的、精神的、情緒的活動である。
・結果として→タンジブルなデザインの「いかにつくるか」から「何を創造していくべきか」ろいうインタンジブルな方向へと変化しつつある。
・環境づくりから物つくりまでの人間活動全般にわたり、新しいイメージと理想のコ ンセプトを描く役割を強く担いつつある。
<<企業デザイナーの資質>>
→(第一線で活躍のデザイナーのコメントより)
・誰の為(Who)、何を(What)を的確に押さえた商品開発の出来る。
・どうつくるか(How)に関し、柔軟にネットワークに対応出来る。
・感性(センス)、そして、美意識、人を退屈させないコミュニケ−ヨン能力とサービス精神を備えている事。
・人々に快適さを与えられない人は、デザイナーの資質に欠けている。
・好奇心、探究心、ユーモア、優しさ、楽しさが必要であり、よいもの、事を見分け、変化させるべき事、変化させては行けない事の識見、教養、国際感覚、バランス感覚、実行力、責任感などを養う事が大切である。
・全人格的バランス感覚が大切。