§1.広告代理業
(1).広告代理業とファッション情報メディア
ファッション広告の企画立案製作伝達において、広告代理業は、広告主と情報メディアの橋渡し役、調整機能を担いながら、重要な役割を負っている。

●広告代理業…広告主にとっては、宣伝業務の代行。
情報メディアにとっては、代理店を通じて入稿した広告が販売収入とともに大きな営業の柱となっていること。

※広告代理業が広告主、メディア双方の代理業務を担っている事が代理店の機構と仕 事の内容を広範かつ複雑なものとしている一因。

マーケティング・コミュニケーション理論…社会調査の手法を導入しつつ、広告代理業は、自立した情報企業としての性格を強めつつある。

※広告代理店における、調査開発クリエイティブな部門の近年の拡充強化はこの事を物語っている。

文化のレベル経済領域とともに、文化のレベルで広告代理店が少なからぬ影響力 を持っている事。
・広告のキャッチフレーズ、CMの映像、CMソングは、単なる商品サービス内容の告知 だけではなく、大衆に向けて新たな価値観に立脚した生活提案をも行うに至ってい る。

(ex)『モーレツからビューティフルへ』
・広告コピーは、時代の転換期を鋭く捉え、ファッション、大衆の社会意識、大衆文化に大きなインパクトを与えた。
・広告代理業が経済、文化領域に大きな影響力を持つに至った背景として、日本経済の発展と同時に、代理業内部で調査、クリエイターなどの人材開発と有機的なシステム構築が進んだ事が上げられる。

ファッション産業…広告代理業の経済文化情報機能の力を借りて、情報メディアを通じて、大衆に商品、サービスの告知、自社商品の差別化、新たなライフスタイルの提案を行って行く。

○この場合⇒メディア・ミックスが広告戦略の1つの要になって来た。
(1970〜1980年)
ファッションに直接、関節に関係を持つ情報メディアがタイプ、スタイルともに急激に増加しつつあった。

・活字媒体⇒編集内容、読者層を細かく絞った専門雑誌、境界領域に焦点をあてたクロス・オーバー型雑誌の創刊が相次いだ。
地域社会内の日常生活情報への社会的ニーズが根強い中、地域新聞、タウン誌なども数多く創刊された。

電波、映像媒体…テレビ、ビデオ、インターネットなど。
・従来のテレビ、ラジオに次ぐ「大世代」「第世代」のメディアの開発、実用化が進行中である。

メディアの多様化…商品、サービスの告知、流行の伝達と増幅、新たな生活提案をめぐって、各メディアの機能分担、相互補完性、裏返せば、各メディアの競合共存問題が問われる事になる。

(2).広告代理業とジャーナリズム
・広告は経済領域で販売促進、商品の大量販売によるコストダウンといった機能を果たすと同時に、広告コンセプトとその具体的表現を通じて、大衆に来たるべき時代への価値観を提示する。

●広告は---時代の落とし子。
・現代史の一断面を切り取って伝達する。
・同時に時代のあり方⇒アクチュアルな形で問題提示を行って行く点で広告も広義の ジャーナリズムとみていい。

(3).広告代理業の機構
・広告代理業の機構…規模、専門領域がある。
1→営業・連絡部門…広告主の宣伝、広報部、販売促進、日常的折導折衝にあたりより多くの広告依頼の受注をはかると共に、代理店内部の連絡調整をすすめる。

2→メディア部門…情報メディアとの折衝にあたり、新聞、広告、出版社などの活字メディアに対し、広告出稿のスペースを確保する。

3→調査・開発部門…複数の広告代理店が競合しあう中で、自社の広告企画を広告主に採用してもらうためには、周到かつ独自の視点に立った情報の取材収集、市場調査、科学的なマーケティング方法の開発などが不可欠である。

4→制作部門(クリエイティブ)…ファッション広告の場合、他業種の広告以上に、美的センス、新鮮でオリジナルな感覚が求められる。
  大衆に美的価値観と、新鮮な驚き、新たな、生活提案を提示しえないファッション広告は一般的に訴求力が弱い。