§1.情報化社会における視覚伝達デザイン
           (Visual Communication Design)
●コミュニケーション
・「言語」→「文字」→「印刷術の発明」
マルチメディア⇒(情報通信基盤の整備、コンピュータの発達)
「高度情報化社会」→→→情報の操作によって、付加的な価値を生産する情報サービス産業。
「工業生産」→→→素材から「もの」をつくる時代は最盛期を過ぎた。

コミュニケーション---日常的な意味:人々が色々な記号(code)を用いて、メッセージを構成し、それを伝達あるいは、交換する過程。
コミュニケーションの概念---情報処理と伝達のプロセス
 ---人間個体ないし、集合体の間における情報の処理と伝達の過程。
◯結論⇒⇒「人間から機械までに共通した現象」

●視覚的情報
・人間は、五感から情報を知覚する。
・情報の65%→目から、25%→耳から。
・視覚的情報は、最も広く、早く、他の感覚に優先してコミュニケーションの機能を果たしている。

※最近活字離れの傾向もある。→社会的なコミュニケーションにおいて、視覚イメージによるコミュニケーションの重要性が特に強調されるようになった。

・情報を視覚的に訴えて伝達する機能を持つデザイン
(視覚伝達デザイン)→(ビジュアル・コミュニケーション・デザイン)

●視覚伝達デザイン…色彩、形状、図記号、写真などの視覚的シンボルを媒介にして視覚を通して情報を伝えるためのデザイン。

●話し言葉や音楽などによる、「聴く伝達」に対して、「見る伝達」を呼ぶ事ができる。

●言語以外の記号を用い、1.(指示的なもの)2.(説得的なもの)3.(象徴的なもの)4.(記録的なもの)5.(説明的なもの)などに分類できる。

                              
◆視覚伝達デザインの現状。
・社会の関わりで”伝える”という行為は欠くことのできないもの。
⇒そのため人々はいろいろな媒体(メディア)や道具(ツール)を駆使して情報や思いを伝えようと試みてきた。
・数多くの媒体(メディア)や道具(ツール)の中から、伝える内容・伝える相手にあわせて的確にひとつのものを選ぶには、社会動向や経済原則とコミュニケーションとの関係を理解する。

・二次元(平面)の世界から空間の世界までを統合する コミュニケーションデザインが可能になる。

※文字記号と図記号、図表と画像、あるいはシグナルとシンボルが イメージを形成し、サインとしてまとめられ、情報 としてデザインされる。
 ビジュアルコミュニケーションデザインの歴史的役割とメディアの広がりはますます大きくなっている。「認識」「表現 」「創作」「提案」が重要視されてくるのではないだろうか。

●視覚情報〜とは。
・背景---視覚情報メディアが急速な発展を遂げている。
・課題となる事---画像と文字を組み合わせてメッセージを伝達するだけでなく、視覚的なコミュニケーション環境を整えることに重点を置き、情報の造形を行う。

・視覚的な情報の効率の良さと大きさは時代や文化の違いを超えて万人が認めるところ。
⇒⇒⇒情報の視覚化は今後ますます国際化が進む社会の中で、必然的な要求となってくる。
・視覚的情報をビジュアルコミュニケーションとして大きくとらえ、映像、グラフィックの分野に大きく拡がる視覚的表現の世界を総合的に見ていかなければならない。

◯人間の社会生活に欠くことのできない情報伝達の内容及び方法を論理的・造形的に計画設計する。

◯デザインが、現代社会や産業に直結するもの→→→ますます拡大化・複雑化する今日のビジュアル・コミュニケーション・デザインに関わる判断力、表現力を重要視。 

◯もともとデザインは、多くの関連科学領域と密接した性質のもの。
 この技術論を超えて、人間意識 の表現領域にも深く根差したものである 。
                               
●視覚的シンボル文字…文字の発生以前から〜洞窟の壁画や絵文字として使われていた。
→ 情報の伝達や現実的な目的を持った⇒呪術として用いられてきた。

・古代の狩猟-原始農耕時代〜動物の絵を描く事によって、描かれたものを所有する事を意味した。
・豊漁や豊作への願いが込められていた。→の、ではないだろうか。。。

(時代的に)→→→視覚的シンボル---自然を支配する超能力的道具として捉えられていた。

●文字の発達コミュニケーションは飛躍的に拡大した。
・原始的統合から分析の傾向。
・幅の広い概念操作を可能にした。
(しかし→読み書きできる人は、ごく一部。一般大衆に対する伝達は、視覚的シンボルに依存していた。)

(EX)→→→王の功績の記録、祭のシンボル、教義を説いた宗教画、部族の旗や紋章、家紋など多数に及ぶ。

●15世紀〜…グーテンベルグ(J.G.Gutenberg)の活版印刷術の発明。
・情報の流通量を急速に増大させた。

・印刷物によるよる、黙読の習慣…肉声による言語発達から、音声と言葉を切り離した。
コミュニケーション・パターン…分析的、推論的傾向を強くして、分析的文化の徹底化が進んだ。
・近代の合理的精神の啓蒙に力を与えた。
・印刷された紙面を通して…今まで大伽藍に集中されていた唯一の精神。
→→→多数の書物に分割され、従来の見る精神を読む精神に変えた。
・迷信や因習を打破する分析的→文化、概念に移行された。
・並行して〜〜〜〜印刷による、絵画的表現やイラストレーションによって視覚的伝達デザインの領域を拡大していく。

●18世紀〜19世紀
産業革命…新技術、新素材の出現…生産と消費の関係を一変させた。
・写真術の発明、網点による写真印刷が開発されて、従来の「活字」中心の情報から「映像」(image)を伴った、豊かな視覚的情報として出版、ジャーナリズムの隆盛。
                               
・商業的…商業的な発展によって、ポスターや新聞、雑誌、広告などが盛んに行われるようになる。

●20世紀後半〜
・エレクトロニクスによる情報機器の出現。
・また、対するソフトウェアの開発情報網の整備など→人々を取り巻く、情報環境は、極度に高度化して来ている。
(一年、一年という成長ではなく、日々の変化。時間により変化。)
・加速度に変化する技術や情報…対応が迫られて、価値観の変容を余儀なくされている。
(都市の肥大化→人々の自発的連帯が弱まる。)
(絶え間ない、社会的相克、不安、人間疎外などの矛盾が深まっている。)

情報化の悩み---過剰なほどの「もの」と「情報」の中で、生活の快適性とは、裏腹に、精神的貧困を招いているのでは?→人間関係をいかにして、回復するかという社会問題も抱えている。

■情報革命■
TV、新聞、マスメディアのありかたを大きく変えて行く。
⇒今日までのコミュニケーションのイニシアチブは、世界的規模に発達したマスメディア主導で進められてきた。
・主役の交代?→TV⇒言語的情報に「映像」と、「音響」が加わり複合化した情報によって、ダイレクトな伝達を可能にした。

・コミュニケーション・パターン…分析的文化から再び、統合へ。
・総体的に…再構成の方向で。
(映像、音響、言語、3つの記号系の複合体として登場。)

・TV受像機の普及によって…日本中、どこでも共通の情報が浸透して、画一化と知的等質化を促進した。
→→→このために、生活のスタイルも画一化を招いた。
→→→地域の特性を失ってしまったものもある。

※主役=テレビに譲ったとしても、数十万、数百万の読者を持つ新聞や雑誌。

→→→それぞれの媒体特性を発揮して、見せるために積極的に働きかけ、興味や感動、共感を喚起して、印象を深めたり説得力を強めるような努力が払われている。

■情報活動■
・活性化…広告、宣伝など。
・極度に発達した経済活動において広告、宣伝の果たす役割⇒大きい。
・日日々の生活の中に組み込まれている。

◎問題…このような社会にあっては、視覚的記号の使用が促進され、無秩序な拡大が視覚的混乱や色彩の氾濫を招き、視覚環境の汚染をもたらしている。

■マスメディアが伝える情報■
・他人が捉えても解釈を加えた環境のイメージであって、自然環境に対して、疑似環境ともいわれる。
・個人では体験できない事柄を、間接的な代理体験を通して相互に社会生活の中で意味領域を拡大している。

◯視覚伝達デザインにおけるイメージ…位置づけ。
・視覚の法則と受け手の先有傾向や関心の枠組みに支配され、関係が感覚的に判断されるので、人々の持つ共通の欲求や期待を満足させるか否かの価値の次元で、共感を得たり、回避されたりする。

*先有傾向---人々が過去の経験の蓄積に基づいて、作り上げて来た知識、関心、意見、態度などの総称。
コミュニケーションにおける情報受容の可否を選択する枠組みとして働く。

■情報化社会における視覚伝達デザインの課題■
・複雑に絡んだ社会の仕組みや、錯綜とした視覚環境の中で、新しい価値体系の機構とそれに対応した伝達システムの開発が行われようにしなければならない。

・新しい機器、新しいシステムに人間が追随するのではなく、人間の思考や行動に合わせた開発が優先される。

・視覚伝達---「意味の表現」という豊かな創造。
・人々の知る権利を前提に伝達され、解釈を得るもの。
・人々の感情に作用し、信頼関係を確立して、人と人とのコミュニケーションに繋がり、新たな結合の可能性を生むきっかけになるのではないだろうか。