§2.コミュニケーションと視覚伝達デザイン
・コミュニケーション→(communication)
・英語のcommon「共有する」「共通に分かち与える」の意味を指す。
※コミュニケーション---対人関係の上で記号に媒介して交流し、お互いにその意味を共有する状態、またその過程を意味する。
本来「共通にする」事で、送り手が同時に受け手であり、受け手が送り手となるような役割のあり方が、自由で公平な活動といえる。
コミュニケーション事象は、対外的な情報の伝達だけでなく、個体内でんたつである思考や行動が含まれている。
・人間関係は社会のあらゆる面で多角的に行われるが、コミュニケーションは対象のレベルによって4つに分ける事が出来る。
(1).バーバル・コミュニケーション(言語によるコミュニケーション)
・人間は言語を使って話をしたり、書いたり、読んだり、考えたりする。
・このように言語を用いて行うコミュニケーションは、抽象的概念の伝達に適している。
・人間のコミュニケーションの主要な方法となっている。
(2).ノンババール・コミュニケーション
(言語によらないコミュニケーション)
→→→視覚や聴覚に直接訴えて、同時的な理解を促し、特に言葉の機能が成り立たない場面で重要な役割を果たす。
・バーバル・コミュニケーションが客観的な思考の伝達に適しているのに対して、ノンバーバル・コミュニケーションは、対照的。
・ノンバーバル・コミュニケーションは、情緒的、主観的なイメージの伝達に適して、言葉で表現しにくい、意味内容を具体的に伝達する機能を持っている。
・中でも、最も大きな分野を占めているのが、絵画、写真、イラストレーション、映像等の視覚伝達の領域である。
◆↓言葉によらない伝達の領域は、更に3つに分類できる。
(2)-1.
・アクション言語:歩く、笑う、など全ての動きは見る人に対してある種の意味を伝える働きをしているが、特に身振り、手振り、顔の表現、姿勢など、言葉を使わずに意志を伝達するジェスチュア、パントマイム、サインなど。
・他に言葉や数をジェスチュアに置き換えた、手話や手旗など完成されたシステムを持つものもある。
・人間自身が複雑な情報発信体である。
(2)-2.
・ピクトリアル言語:標識、地図、暦、絵画、写真、図表、などもじを使わずに意味伝達が可能な絵言葉。
(2)-3.
・オブジェクト言語:ファッション、商品、都市、建造物、広告塔、など、あらゆるものから、発するビジュアル・メッセージを含む。
・中には、古代の呪術や信仰のシンボルなど社会的規約に基づくものもある。
●言語による、バーバル・コミュニケーションと視覚伝達を中心としたノンバーバル
・コミュニケーションは、人間のコミュニケーション活動の大きな2本の柱として、機能を分担し合ながら、有機的に作用し、豊かなコミュニケーション・環境を形作っている。
<<コミュニケーション効果>>
・認知⇒理解⇒確信⇒行動------へと進む。(説得の過程)
・コミュニケーションと効果の因果関係を解決する事はかなり難しいとされている。
・政治学者ラスウェル(H.D.Lasswell)の提起したコミュニケーションモデル・誰が(who)、何を(what)、誰に(towhom)、どのような手段と経路で(in what media and channel)、どのような効果を及ぼしながら(with what effects)伝達するか、という5つからのプロセスから成り立っている。
・「送り内容」や「受け手」との関連で相互に効果や反応を分析する方法を明らかにしており、選挙や国際関係等の社会的コミュニケーションの科学的研究に貢献した。
・しかし→→→人間のコミュニケーション…それぞれの過程において複雑な要因が作用して、同じ情報でも相手によって効果が違って来る。
・また、信頼性や専門性、技術、態度など情報の送り手と受け手の関係によっても異なり、情報の量よりも質、効率よりも効果が重視される。
・多くの調査や実験の結果、明白になって来た事は、人々の意志決定に及ぼす影響は、マス・メディアよりもパーソナルな影響の方が強く、情報の中継ぎ役として、オピニオン・リーダーの介在注目される。
・コミュニケーションと受け手の認知のプロセス
・受け身的活動だけではなく、情報収集、情報接触、という積極的活動が含まれている。
・情報の被説得性や訴求効果は、対象(話題、内容、手段)について、抱くイメージに対し、どのような情報が中心的役割を果たすかが問題になる。
・一般に---自分の立場や態度と一致する情報は求め、逆に一致しないものは回避する選択的接触傾向が認められる。
・説得メッセージは、すでに同一立場である人々には届きやすく、異なる立場の人には届きにくい。
⇒⇒従って---視覚伝達における説得的メッセージの計画には、受け手、個人または、集団の離れる事の出来ない関心の枠組みの種類を予測する必要がある。
・広告制作や商品開発時に実施される意識調査などは、そのための一種の手段である。
・メッセージを伝える相手が何を求めているか、探しあてる事で伝達効果の成否を分ける事になる。
(ex)非常口のサイン
・図記号と文字の併記によって、伝達の確実性が高まる。