長潟の夏へ戻る

8月20日

  登熟期。 イネが熟れてくると、穂の籾と葉が黄色くなる。籾が黄色くなるのは籾殻が
 涸れてくるからだ。葉が黄色くなるのは、葉の中の葉緑素が死んでいき、葉の中の養分が
 米に流れ移ってなくなっていくからだ。だんだん穂の重さが増えていって、穂が曲がって
 垂れていく。
  昔からお百姓は、「イネをつくる、米をつくる」とは言わなかった。なぜなら、人間が米
 をつくることができないことを身をもって感じとっていたからだ。また、「牛乳をつくる」
 とは言わない。牛乳はしぼるもの、その牛乳をだす牛は育てるもの、もちろん人間がエサ
 や水をやるけど、そのエサは人間がつくっているわけではない。畑で育てたものだ。イネ
 を育てるのはお日様や水や土の力だと分かっていたから、「イネができる。米がとれる」と
 表現した。                               [引用文献:田んぼの学校 入学編]