がんばれ元気

統一戦・関拳児vs堀口元気




 幼い頃、父と泊まった港館と言う安宿に泊まった元気は目を覚ました。良く晴れた朝であった。
 決戦の日の朝、元気は田舎に残してきた祖父母に手紙を書いた。この試合の 結果はどうあれこの試合が終われば故郷に帰るつもりである。父が死んでからの最終目標である関拳児との 一戦は元気にとっての夢であった。計量をパスした元気は関と対面し、がっちりと握手。食事をとり、仮眠を取った 元気は会場となる日本武道館にやってきた。いよいよ決戦の時がやってきた。元気を支え続けてきた仲間たちと がっちりと握手を交わし、例のごとくガウンも付けずにファンにもみくちゃにされながらリングに入場した。 そして関は全盛期を思わせるようにロープ最上段を飛び越えてさっそうとリングに登場。
 そしてWBA、WBC両タイトルを賭けた世界フェザー級の統一戦が開始されたのである。
両者にらみ合いから元気が最初に仕掛ける。ジャブ、ストレートを繰り出す元気に対し、関は冷静に圧力を かけ、元気を追い込む。攻めるのは元気、追いつめるのは関である。関が狙うのは明らかに熊を殺した一撃である。 果敢に攻める元気のパンチがあたり始める。ジャブ、右フックを炸裂させ攻勢を取った元気であるがパンチこそ出さないが 関は前に前にと前進して打たれながら元気を追い込む。元気は見事なパンチを繰り出し、攻勢を取ったかに思えたが 関は元気の左を外して強力な右を元気たたき込んだ。元気はコーナーに飛ばされ反動で前のめりにダウン。 カウント8で立ち上がった元気はかろうじてピンチをゴングに救われる。
 2ラウンドは挽回しようと元気が早くも飛び出して関をロープまで追い込んで乱打。関は打たれながら強烈な 右を元気に浴びせてまたしても一撃で元気は前のめりにダウンを奪われる。ダメージが深刻と思われた元気はここから 猛反撃に転ずる。ワンツゥーからチャンスを作って見事な反撃。ここで第2ラウンド終了。
 第3ラウンドは壮絶な打ち合いとなった。元気、関とも一歩も引かず猛烈な打撃戦が開始される。終了間際、元気は ロープで乱打されて血みどろのロープダウン。何とかファイティングポーズを取った元気はラウンド終了で自コーナーに 戻った。次のラウンドも壮絶な打撃戦が展開された。関は元気の抵抗に満足していた。
「こんなにも俺に対抗できるとは・・俺の最後のリングにふさわしい相手だ」
関はこの試合を最後の試合と決めていた。「あの小僧が・・・」関が戦った因縁の相手シャーク堀口の息子、 元気が小さい頃、父の代わりに世界チャンピオンになって欲しいと言った言葉と、うぬぼれをさましてくれた 父シャーク堀口の男の執念のお陰で今日まで関は無敵で来れた原因と思っていた。「プロテストの時は正直驚いたぜ!」 そして人生唯一愛した女性、芦川先生と再び会わせてくれた。これでリングを下りたとき心の支えが出来た。
「堀口元気よ・・俺をこんなに燃え上がらせ、最後の相手として満足しあまりある男に・・よくぞ育ってくれた!!」 元気は関の猛攻でダウンを喫しても再び立ち上がり、反撃に転ずる。この両者の血塗れの猛ファイトに感動した観客は 立ち上がって拍手を両者に拍手を送った。凄惨な試合であるはずなのに両者の戦いはあまりにも見事であった。
「最高だ!関さんは最高だ!僕は死んでもいいんです」
12ラウンド元気はまたしてもダウンを奪われる。それでも立ち上がって猛反撃に転ずる。関は切れた。
「堀口・・お前の精神力はどこから来るんだ・・・命を・・捨てたか!!親子共々命を捨てて本望か!!」

元気は体勢を低くして切り札アッパーストレートを打とうと試みる。これまではこの技をかわし続けてきた関で 有ったが、これが相打ちとなる。元気はパンチを打ち落とされダウン。そして関はアッパーストレートをまともに 浴びて吹っ飛ばされダウン。両者ダブルノックダウンだ!。意識もうろうとする関は最初に立ち上がり、元気は その後、何とか立ち上がってファイティングポーズを取る。しかし、先に立ち上がった関は足に来てガクン!と 膝を落とすがロープにもたれかかり、カウント8でファイティングポーズを取った。
 もうろうとする意識の中、関は元気の姿に少年だった元気の姿、死んだシャーク堀口、愛を賭けて戦った三島 栄司の姿が目に映った。そして3人の思いが感じられる。試合再開後、関は元気「来い!」とゼスチャーする。 関は元気の顔面に右を放つが元気ダッキングで外してアッパーストレートに転じ、関の顎を痛烈に打ち抜いた。 関ダウン!!関は執念で立ち上がろうとするがダメージで体が言うことを聞かない。ついに立ち上がれず10 カウント。元気はついに宿願を果たして統一世界フェザー級王者となったのである。
 試合終了後、敗れて動けない関を抱きかかえ、元気はベルトも受け取らず控え室に帰っていく。
「俺のリング生活でシャーク堀口との一戦、そしてお前との一戦が最高の試合だった」
「せ・・関さん・・」
元気は関を泣きながら抱きかかえて控え室に戻って行くのだった・・・。
 控え室に戻った元気は一通の手紙を受け取った。それは最愛の人、芦川先生の別れの手紙だった。 芦川先生は答えを出せず、一人ヨーロッパに旅立っていくのだった・・・・。
 目標を達成した元気は闘争本能を失い、試合後そのまま引退して故郷に帰っていく。
「ほっ!ほっ!ほっ!ほっ!」と声を出しながら走り祖父母の待つ故郷へと帰っていくのである




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