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小林正樹(TOSS山形)
以下の条件のバタフライを指導した。(平成18年7月14日)
1 5年生19人の学級。・・・みんな50M自由形は泳げる。町の水泳大会が終わり、次の目当てをもって水泳練習に取り組む時期。
1コースに2,3人ずつ入り、ゆったりと指導できる人数でもある。
2 見学3人 スイミングで泳げるようになっている子3人 まだ1回も25Mバタフライを泳ぎ切ったことのない子13人
3 私は教務のため、普段は水泳指導をしていない。そのクラスには、社会科と家庭科を教えている。
4 「バタフライの練習をする」ということで、2時間(45分×2回)をいただく。
・・・・・・・・・・その1回目で13人中、12人が25Mを泳ぎ切った。1名は10Mを泳いだ。・・・・・・・・・・・
1回目の練習を急遽この日に行うことになったため、水着を準備していなかった私は、プールサイドでの指導となった。担任が補助に入り、プール内での指導をする。このことは、全体が見えるために結果的にはよかったようだ。
【指示は全てプールサイドで行う。】
準備体操の後、集合させる。
あいさつ 今日と次の時間、先生とバタフライの練習をします。今までバタフライ25M泳ぎきったことのある人(挙手を促す)、ない人(挙手を促す)、はい、わかりました。2回で、みんな必ずできるようになりますよ。がんばろうね。今日は、25Mの半分まで泳げたら合格だな。
目標を持たせることが大事である。それにしても、できるかどうか、不安そうな表情だった。
それでも、できない子が多いためみんなが同じスタート地点から始められるというのは、安心感があるようだ。
指示1(水慣れ) 50Mクロール、1回泳ぎます。終わったら、プールサイドに集まります。
暑い日の2時間目だった。プールからあがっても、寒さは感じないのもよかった。
指示2(キック:手で)先生のマネをします。「バタン、フライ。」(両腕・手でバタフライのキックをする。)・・・・・「バタン、フライ」と言いながらします。・・・・・ムチのようにしなやかに動かします。・・・・・たいへん上手です。
「言いながら」がポイント。これでゆったりしたリズムをつかむことができる。腕でやることで「ムチのように」も理解しやすい。
指示3(キック:壁につかまって)今度は、水中で今のようにキックします。「バタン、フライ」と心の中で言いながら、キックします。(泳げる子の見本を見せる。)・・・・・さあ、やってみましょう。顔は上げたまま。・・・・・両足を同時に動かすのがポイントです。みんな、上手。・・・・・・おしりをもっとモコモコと動かします。
担任の先生に、両足バラバラの子の指導をお願いした。ずれてしまう子が3人いた。だいたいできたところで、OKとする。
指示4(キック:ビート板で)ビート板を使って、今のキック練習をします。「フライ」の時だけ、顔を上げて、呼吸をします。50Mできたらあがります。
ここでも足がずれる子がいた。担任の先生が指導する。上から見ているとずれる子がよく見える。これまた、だいたいそろえばよしとする。
全員終わったところで、プールサイドでの指導に移る。
指示5(バタフライのかきのリズム)「バタン、フライ」で膝を曲げます。(2回曲げることになる。)・・・腕をまっすぐ前を伸ばします。「フライ」の時だけ回します。「バタン(膝曲げ)、フライ(膝曲げ+腕の回転)」。・・・・・先生と一緒にやってみます。「バタン、フライ」と言いながら。・・・・・連続してやるよ。(5回ほどの連続)・・・・・よし、合格。
やはり、「言いながら」がポイント。膝の曲げ、腕の回転のリズムだけ体得させる。泳げない子は、いつ腕を回転させたらいいかがわからなく、リズムをとれない子が多い。
指示6(バタフライ1回だけ泳ぐ)泳いでみましょう。「バタン、フライ」1回で、必ず立ちます。・・・・・(泳げる子に見本をさせる。)・・・・・必ず、1回で立つんですよ。心の中で「バタン、フライ」と言いながら、ね。25M進んだら、向こうであがって待っててね。
「1回で立つ」がポイント。水中でリズムを崩さずに泳がせる。みんな立つので、安心して取り組める。
次もまた、プールサイドで指導。
指示7(バタフライ2回だけ泳ぐ:呼吸)息継ぎの練習をします。「フライ」の時にあごをあげるだけです。バタフライの呼吸は、とても簡単です。やってみましょう。「バタン(膝曲げ)、フライ(膝曲げ+腕回し+あご上げ)」・・・・・言いながら。・・・・・連続で。(5回程度)・・・・・よし、できた。「バタン、フライ」と、2回連続したら、立ちます。必ず、立つんですよ。25M進んだら、向こうで待っててね。
「2回で立つ」がポイント。安心感を与える。
が、できた子は、3回、4回と続けて泳いでいた。(見逃してやる。)リズムをつかんでいる子がほとんどだった。
最後のプールサイドでの指導。
指示8(テスト)ここまでみんな合格です。すばらしい!では、今日のテストです。1コースで、連続2回できたら、合格です。合格の人は、2〜6コースで担任の先生と、どんどん距離を伸ばす練習をしていてください。不合格の人は、先生ともう少し練習しましょう。
一人ずつ泳がせ、テスト。リズムをつかんでいるかどうかを重点に見る。合格の子は、5Mくらいまで進む。前の人がスタート後、次の人がプールに入り準備する。短い距離なので、どんどんテストできる。「合格」または「不合格」のみを告げる。
4人が不合格。ポイントを示し、練習させ、再度テスト。・・・・・全員合格。4人も、距離を伸ばす練習へ進む。
全員あげて、バタフライ25Mの挑戦タイムへ入る。
指示9(挑戦)どこまで泳げるか、挑戦してみましょう。今日は、半分まで泳げれば合格ですよ。
○1回目のスタートは、3人の最初から泳げた子。→→→→→当然、25M泳ぐ。
○2回目は、初挑戦の子。→→→→→6人全員が25M泳ぐ。
○3回目も、初挑戦の子。→→→→→6人全員が25M泳ぐ。
○少し遅れて、1人スタート。→→→→→10Mで立つ。
終わりに すごいね、みんな。たいしたもんだ!さすが、5年生。校内水泳大会も、来年の町の水泳大会も楽しみだなあ。
みんな、ニコニコ顔だった。残る1名と見学だった子たち、2回目にはきっと泳げるようにする!
ラストは「5分間泳ぎ」に挑戦。「途中で立ったら、あがって着替えをする」「泳法は自由」「泳法を替えてもいい」という約束。ゆったりと泳がせる、着替えの混雑をさける、時間に挑戦させる、というもの。
その中で、今日初めて25Mバタフライを泳げた子が、100Mバタフライを泳ぎ切った。どちらかと言えば、水泳は苦手、運動の得意な子ではない。5分間泳いだ後のプールサイドで、とても満足そうな、自分に驚いているような表情が見られた。もちろん、担任も驚きを隠せなかった。
「ありがとうございました。バタフライって、あんなに簡単だとは知りませんでした。」
と、終わった後の職員室で言われた。
「一時一事の原則」を使いこなせば、バタフライの初期指導も簡単に指導できることを実感した。