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「子どもの作品」でする道徳授業

お母さんの夢

山形県(大江町立本郷西小学校)/小林 正樹

 『TOSS道徳「心の教育」5 心に響く「力のある資料」で生き方を教える道徳授業』(向山洋一監修 TOSS道徳教育研究会編 明治図書)の石黒修氏の論文(28ページ)に、「この作品は、まだ授業にかけていない」とあった。その授業プランを実践し、ここに報告する。


 対象は、3年生(8人)と4年生(8人)の複式16人のクラス。4月後半、新しいクラスで3回目の道徳の時間だった。低・中学年向きの道徳授業である。


 まず、途中までのプリントを配布し、ゆっくりと1回読む。【プリントへ】

お母さんの夢はかなったのでしょうか、かなわなかったのでしょうか。ノートに、「かなった」「かなわなかった」のどちらかを書きなさい。

「このお母さんは、どんな仕事をしてるんですか?」

と質問があったので、

「書いてありませんが、普通のお母さんでしょうね。」

と答えた。

この後、人数を確認した。 「かなった」「かなわなかった」が、8人ずつだった。

そう考えた理由を書きましょう。簡単に、短く、でいいですよ。

 全員が書いたのを確認した。簡単でもいいから書いていく習慣を付けていきながらの年度当初の授業である。

指名しませんから、「かなった」の人から意見を発表しましょう。

 「指名なし発表」を道徳の時間にも取り入れる。

 教師は、それぞれの意見を黒板にガンガン書く。(これが後からの討論のテーマにつながる。)

《かなった》という意見
 ・今は幸せそうだから
 ・子供が生まれて、楽しそうに会話しているから。
 ・こういう書き方だと、ちょっとびっくりするようなことになると思うから。
《かなわなかった》という意見
 ・文章にも出ているし、ふつうのお母さんだから。
 ・文に、「かなわなかったんだね」と書いてあるから。
 ・書いてある通りになったから。

質問したいこと、もっと説明を受けたいことはありませんか?

 ここではできるだけ「指名なし討論」につながるよう、問い方、説明の受け方を指導した。

 意見が尽きたところで、「次を読みます。」と言って、次の所まで読んだ。

(先のプリント後半から)だから、ぼくは、「そうしたら、お母さんのゆめは、かなわなかったんだね。」と言うとお母さんは、「ううん、ぜんぶかなったよ。」と言いました。

ここまで読むと、

「わかったー!」

と一人の男の子が勢いよく言ったので、説明させた。ほぼ内容をとらえていた。

 後半のプリントを配布し、ゆっくりと読んだ。【プリントへ】

お母さんの夢はかなったのでしょうか、かなわなかったのでしょうか。

 なんと、16人全員が「かなった」とノートに書いた。いや、一人だけ、先の男の子だけ「思いっきりかなった」と書いていた。

 この後、前日に書かせていた「家族紹介日記」を読んだ。ちょっとだけマイナスの部分もあるが、大きくプラスの見方をしている日記である。【家族紹介日記へ】

 最後に、授業の感想を書かせて終了した。【授業の感想へ】

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