機動戦艦ナデシコ小説

プロローグ

星の数ほど人がいて、星の数ほど物語がある。
これはその中にある一つの物語である・・・。


あの戦いからどれほどの月日が流れたのだろう。
火星の後継者の蜂起から・・・。
あの戦いで、失ったものはあまりにも大きい。
いまだ人々の心の傷は癒されずにいる。
でも、いくら悔やんでも、時間は戻らない。
だから、今はただ前をむいて生きていくしかない。
いつか、心の傷が癒されると信じて・・・。


第1章、再会

「艦長、艦長まってください艦長ー」
そういいながらあわただしく通路を走ってくるのはマキビ・ハリ少尉(通称ハーリー)
「もうー、まってくださいよー、ホシノ・ルリ艦長」
彼が呼んでいるのはこの艦「ナデシコ」の艦長ホシノ・ルリ。言わずと知れた
この物語のヒロインである。
「なーに ハーリー君」
歩く足を止めずに、そう語りかける。
「えーとですね、あっ今日から艦に新しいクルーが配属されるって聞きました?」
「ええ」
「今ごろになって新しいクルーだなんて、なんでしょうね」
「そうね」
「どんな人かな。艦長興味ありませんか?」
「いいえ」
「そうですか・・・」
と、いつもハーリーがいろいろ話題をだして、それにルリが相槌をうつだけ。
そんな会話がブリッジまで続く。
そうこう会話しているうちにブリッジ到着。
すると突然ブリッジの扉が開く・・・と同時になかから人が飛び出してきて
「おっはよーハーリー」
そう言いながらハーリーにおおいかぶさってきたのは高杉三郎太大尉。
もと木連将校としてナデシコと敵対した真面目な軍人・・・でしたが、
いまやその面影は微塵のカケラもない。
「高杉大尉 やめてくださいよー」
なんとか振り払おうともがくハーリーだが
「なんだよ、いいじゃないか。男同士のスキンシップ。俺とお前の仲だろ」
「なに言ってんですかー」
と、言うやり取りもいつもの朝の日課みたいなもの。
「おはよ、高杉大尉」
「あっ、おはようございます。艦長」
「まー、ほどほどにね」
そう言って艦長席に向かうホシノ・ルリ。
「はーい。・・・さてハーリー、艦長の許可も出たし ふっふっふっ」
と、怪しい目つきで嫌な笑みをうかべた。
「ええー艦長ー」
と、今にも泣きだしそうなハーリー。
そんな二人のやり取りを尻目にルリは艦長席につく。
「なにか異常はないですか」
そう言ってオペレーター達に目をくばる。
そのオペレーターの一人が
「はい、今の所異常はありません」
「そうですか」
「それから宇宙軍本部からの連絡で新しく配属されるクルーはAM9:00到着予定だそうです」
「そうですか」
そう言ってルリは深く席に座り ”はー”とため息をつき、そして目を閉じた。
私はまだこの席に慣れていない。
この席は本当はあの人の席。
いつも思い出すのはみんなの居たあの頃の日々。
そしてあの人達のこと。
その中に居た私を思い出しながら、少し微笑む。
「艦長」
不意に呼ばれて我に返る。
「本部の輸送艦からの連絡です」
「メインスクリーンにつないで下さい」
「はい」
「本部の命によりそちらに配属されるクルーを二人、お連れしました。着艦許可をお願いします」
「はい。ごくろうさまです。いま誘導ビームをだしますので、そちらにお願いします」
「はい。わかりました。では今からそちらにお連れします」
輸送艦より小型艇が射出された。
「私も出迎えるため格納庫に向かいます。あとをよろしく」
そう言ってホシノ・ルリも出迎えるため格納庫に向かう。
「なー、ハーリーどんな子かな?かわいい子かな?」
と、ハーリーの首に腕をまわす。
「どうですかねー。艦長も聞いてないみたいでしたし」
”プシュー”
小型艇のハッチが開いた。
「おっ、出てきたぞ」
そう言ったのもつかの間。
「えっ、おい、まさか・・・」
出てきた人物を見た時、さすがの高杉も驚きを隠せなかった。
「なにを騒いでいるの高杉大尉」
そう後ろから声をかけられ、あわてて振り返る。
「あっ・・・、艦長。いえ何も」
「?」
その態度が不自然だったので首をかしげる。
「新しいクルーはもう出てきましたか?」
その問いにハーリーが答える。
「はい。出てきました。で、そのクルーて言うのがですね・・・」
そこまで言いかけたハーリーを高杉が止める。
「なんですか、高杉大尉」
「いいから、ちょっとこっちこい」
高杉がハーリーを引きずっていく。
「?」
そのやり取りにまたも首をかしげる。
二人のやり取りを見つめていると
「この艦の艦長いらっしゃいますか?」
と、呼ばれ、振り返った。
とっ、その先にいた人物は・・・。
「あなたが艦長のホシノ・ルリさんですね」
「あっ、はい」
突然声をかけられ戸惑う。
「本部の命によりこちらに配属されるクルーをお連れしました。」
「こちらがパイロットのテンカワ・アキトさん」
「そして彼専門のサポートオペレーターのラピス・ラズリさんです」
「両二名確かにお連れしましたので私はこれで失礼します」
「はっ、はい、ご苦労様です」
そう答えた彼女だが内心穏やかではなかった。
そして彼から目が放せないでいた。
「なぜ彼がここに?」
疑問、驚き、戸惑い、喜び、そんな感情が心の中でいりまじっていた。
不意に彼女が出した言葉は
「では各自、持ち場に戻ってください」
「それからマキビ・ハリ少尉、この二人をお部屋に案内してください」
「それが終わったら艦内の案内もお願いします」
そう言って彼女はこの二人に背を向けてブリッジに向かって歩き出した。
突然の出来事に彼女も混乱していたのだ。

彼ら二人の「ナデシコ」配属はなにをもたらすのか?

第1章、再会 完。


作者からのコメント。

皆さん初めまして。
今回、小説という物を初めて書いている「綾原征斗」という愚か者です。
この話、最初は同人誌用の原案として考えていたのですが、私の
画力では再現不可能ときずきまして小説として作りなおしましたものです。
にしてもかなりの御都合主義な話になっています。
映画版から約半年〜1年後くらいの説定になっているうえ、
アキトとラピスのナデシコ配属なんてかなりいいかげん。
思いついたまま書いているので、かなりいいかげんになっているかも
しれませんが、あまり気にしないでください。
最後になりますが、こんな変な小説最後まで読んでくださってありがとう
ございました。
それでは第2話でまたお会いしましょう。(あるかないかは不明です)

         2000.XX.XX A,G PROJECT 綾原征斗

 

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