どこまでもお人好しで。
どこまでも正直者で。

俺と全く正反対な、影みたいだと思った。

俺がどんなに願っても手に入れられないものを簡単に掴んでしまうから。

見てると苛々してきた。
だから、何か奪ってやりたいと思った。

俺さまが奪えるモノ。
考えたって見付からなくて。

いつも俺さまのすぐ傍で楽しそうに笑う。
それがやっぱり苛々した。

でもそれで、気が付いた。
なんですぐ傍で楽しそうに笑うのか。
その笑顔の意味にやっと、気が付いた。



雪の降る、夜に。




仲間達に向ける笑顔。
父親に向ける笑顔。


俺さまに向けるのはどちらでもなく。
気が付いてやはり、苛々した。



でも、奪えるモノを見付けた。



だから、裏切ってみた。

そしたら想像通り、いつも楽しそうに笑う顔は歪む。



最後に見たのもそんな顔。



歪んだ顔が面白くて、
完璧に奪ってやりたくて、

呟いた。



「愛してる。」



そして、壊してやった。
俺さまが奪える只ひとつのモノを。




俺さま、自身を。




その時俺は苛々したか、覚えてない。

でも壊してから思い出した。
あの苛々の原因は、笑顔じゃなかったことを。

恋を、していたということを。


どこまでもお人好しで、
どこまでも正直者で、


俺だけに特別な笑顔をくれた、あいつに。




















でも、もう
































さよならだ。






















END







950「さよなら、私の影は無い」
わけがわからないですね(−−;
とりあえずクラトスルートです。
ゼロスは死んでからロイドのことが好きだったのを自覚した。そんな感じです。
最後にしかロイドをさして「あいつ」とか「お前」とかを入れないように頑張りました(笑

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