旅の途中。
ただ広い道を歩いて行く。

そんなとき、ゼロスはいつのまにか立ち止まって居ることがよくあった。
その時既に俺はあいつのことばかり考えいたから気付いたんだけど。

近付いて、手をさしのべてやらないとあいつはずっとあのまま立ち尽くして居たのだろうか。

まるで、俺を試しているかのように。

「ゼロス?何やってるんだよ、置いてくぞ?」
「ん?・・・あぁ、今行く。」

俺はまた振り返った。
これはゼロスと出会ってから何回目のことだったか。

出会ったばかりの頃はそれこそ今の様に立ち止まることなど無かったと思う。
けれど、段々と目に付くようになってきて。
皆は全然気付いてないんだけど、俺はゼロスのこと、見てるから。
だからどうしても、気になってしまう。
しばらくすれば気が付いて追ってくるからいつもは放って置くことにしてるけど。

あいつ、悩みあってもなさそうな振りするじゃん?

でも、人間誰にだって限界はあるしさ。
立ち止まるほど悩んでるってことは、そっとしておいてやるのだって必要だろうし。
だけど、いつまでたっても気が付かずに姿が見えなくなるまで立ち止まってることまである。
その時は流石に駆け寄って、思いっきり顔覗きこんでやるんだ。

でもその瞬間、信じられないくらい無防備なゼロスを見てしまう。
深く考え過ぎて、辿り着いた何かに脅えてる。そんな顔。

これは悩み、っていうのかな。

悩みよりももっと先の何か。
そう、例えば苦悩。
そんな言葉がよく似合うような。

無防備なゼロスの顔を見る度に俺は何も解ってやれてないって解る。
それを俺は解ろうとしたのだろうか。
上辺だけなんて嫌だ。

それでもいつしかお前は俺の言葉さえ聞こえなくなったかのように。

立ち止まったお前の手を、

その手を取ったのは俺じゃなくて。
ゼロスの中に居た誰か。

果たして誰だったのか。
そんなの俺は今も、未来でも、知らない。



知りたくも、無い。













END






03「立ち止まったお前の手を、」
本当はもうちょっと長くなる筈だったんですが(汗
か、会話入れたかったのに・・!

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