殺して欲しいとお前に望むのは、そんなにいけないコトですか?

夜空を見るたびに俺は明日を見たくないと思う。
真っ暗な世界に何もかもが映らない夜という世界。
その中で俺はお前の隣に居て、お前は俺の隣に居る。
今日は月も出ていないから顔も見えなくて、傍にある温もりが本当にお前のものであるかすらわからないけれど。
「・・・早く、朝になれば良いのにな。」
ポツリと落とされた言葉に思わずロイドくんだ、って感じた。
そして、そう感じる度に俺の心は痛みを訴える。
「なんで?」
「・・・なんで、って。夜は暗くてつまんないじゃん。」
「・・・そーか?」
つまらない、といえば確かにそうなのかもしれない。
煩わしい音もしない、目障りなモノも見えない、ジリジリと体と焼き尽くそうとする太陽の光も感じない。
人が本当に孤独になる、瞬間。

ロイドくんにとってみればつまらないだろうし、要らないとも思うだろう。
だけど、俺にとってそれはこの上ない幸せを与えてくれる空間で。
夜が無ければきっと今まで生きていることなどありはしない。
「・・・俺さまは夜が一番好き。」
「・・・なんでだよ?朝だって、昼だって、楽しいのに。」
「お前にとっては、だろ?」
だってお前には、朝も、昼も、嫌いになる理由が無い。
俺みたいに夜にただ恋焦がれる理由も。
でも、お前はそれで良いのだと思う。
いや、そうでなければならないのだと、思う。
初めて出会ったときからわかってた。
俺とお前はどう足掻いても違う存在であることを。
そうであること以外、許されないということを。
「なぁ、ロイドくん。」
「ん?なんだよ。」
「・・・俺さま、お前にだったら殺されても良いよ。」
お前の顔は見えないけれど、きっとちょっと起こってんだろうな。
声を感じれば、わかる。
「じゃ、一緒に死んでくれる?」

怒んないで。
お願いだから。

「・・・良いよ。」
「・・・なーにいってんよ。冗談だっての。」

お願いだから。

「・・・俺、やっぱり朝が好きだ。」
「なんで?」

俺を否定しないで。

「お前が、今どんな顔してんのか、わかんねぇもん。」

そう言ったお前の顔を俺は絶対に見たくない。
見てしまったら、もう俺は逃げらんないから。
やっぱり、明日なんて見たくないんだ。

それでも、もし俺が夜で、お前が朝なのだとしたら。

「・・・ねぇ。やっぱ、殺して。」
「あのなぁ!」
殺して欲しい。
朝である、お前に。

ひかりにおしつぶされてきえるやみはしあわせ、なんだ。











殺してって囁いて、ちゃんと殺してくれたなら、それは俺へのお前の愛。








END





10「殺して欲しいと愛を囁く」
私が描くゼロスはとことん病んでます・・ね・・(汗

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