一体、どこまで本気なんだろうな。












「なー。ガイラルディア。」
至極退屈そうに傍目で俺を見ながらピオニー陛下が溜息をつく。
なんですか、と一応返事はしてみるものの。
俺は何故かその先にある言葉を聞きたくない。
どうせ暇なんだろうから茶でも付き合えと強制的に陛下の私室に連れて来られたのだが、こういうときには大抵がブウサギがどうとかこうとかいう話になる。
陛下がブウサギを可愛がるのはいい。
けれどそれを世話することになる者の身にもなってほしい。
きっと俺以外にもそう思った奴は山ほどいるはずだ。

「もう1匹ブウサギを飼いたい。」
「ダメです。これ以上は。」
この上なく即答してしまった。
多分今の一言に俺の想いは丸ごと詰まっていたことだろう。
陛下もちょっとショックだったらしい。下を向いてしまった。
「折角名前をガイラルディアにしようと思ったのに。」
「お願いですから止めて下さい。」
自分の名前のブウサギをやたらと可愛がられてもみろ。
俺は数時間後にはマルクトから逃げ出していることだろうな。
しかし、名前をつけられてからも此処に留まっているジェイドの忍耐も相当だと思う。
そこは今だけなら尊敬してもいいかもしれない。
「なんでだよ。思いっきり可愛がってやるぞ?」
聞いた途端、全身に鳥肌が立った。

だからそれが嫌なんですよ。
俺にはその趣味が理解できないというかつけるならせめて女性の名前だけにしてくれ!
なんて思わず叫びたくなったが当然面と向かって言えるはずもなく。
言葉をひとつ飲み込む度に、胃が痛くなってくるのはどうか気のせいであって欲しい。
「可愛がるなら今居るブウサギたちで十分でしょう。それにこれ以上増やしたら他のブウサギたちが陛下が構ってくれないと寂しがりますよ。」
「う。・・・そ、そうか。愛するブウサギたちに寂しい思いをさせるのはまずいな・・・。」
この人、初恋を引きずってるというよりもブウサギ愛しすぎて結婚できないんじゃないだろうか。
それ以前に、これだけ、しかも室内にブウサギのいる所に誰が嫁に来るものか。
陛下がご結婚なさる場合にはその女性とじっくり話をしてみたい。

「・・・仕方ないな。」
沈んだ声を聞いて、ようやく陛下が諦めたと悟る。
これで一安心だと思った矢先には陛下が近づいてきて。
「いっそ、本物でいいか。」
肩に手を置かれて、気がついたときには額に柔らかな感触が伝わって。



頭で理解する前に、俺は拳を勢いよく陛下の顎目掛けて突き出していた。





END






「勢いに託す者の諦め」
なんかもの凄く文が投げやりですが書いてる方は真剣そのものです(笑
ピオガイ。ピオガイこそかわいそうなガイのひっとうだとおもいます!
にしてもガイがやさぐれすぎたな・・・(汗



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