後悔なんて意味が無い。












朝、起きてみたら目の前にルークが居た。
何故?なんて聞いた所で誰が答えてくれるのだろうか。
「あ、ガイ!おはよう。」
眩しいくらいの笑顔。
それで全て誤魔化されてしまう気がした。

翌日の朝。
目が覚めたら今度は何かに後ろから抱きつかれていた。
誰だ?なんて聞くまでもなく、不吉な声が耳に辿り着いた。
「おや。お目覚めですか。おはようございます、ガイ。」
爽やかな微笑み。
それに悪寒が走って何も言えなくなってしまった。

更にその翌日。
宿屋にある食堂でのことだ。
「ガイ遅いねー。いつもなら先にいるのに。」
「本当ですわね。全く、何をしてらっしゃるというのかしら。」
朝食の席。既にガイ以外のメンバーはそこにそろっていた。
いつもなら遅れてくるのは決まってルークなのだが、今日は彼も着席している。
「おかしいですねー。ルークは珍しく居るというのに。」
「悪かったな、珍しくで!」
ジェイドの表情はいつも以上にさわやかで。
対してルークの表情はいつも以上に沈んでいて。
当然この二人の様子がおかしいことにはアニスたちも気が付いているのだが、敢えて口にはしない。してはいけない。それが暗黙のルールになっていた。
「・・・でも、ホントに遅いよな。何してんだろ。・・・俺、ちょっと見――――」
「私が様子を見てきましょう。」
このとき傍に居た全員の溜息が聞こえてきてもおかしくないだろう。
何せ、このジェイドとルークの睨みあいは最近では日常茶飯事と化しているのだから。
「フフフ・・・。」
「あはは・・・。」
二人とも不気味な微笑みを交わしながら我先にと食堂から出て行った。

残るのはそれぞれのついた大きな溜息の音。
「・・・ガイ。もう出てきても大丈夫ですわよ。」
ナタリアが小さく呟くと、調理場の隅の方から人影が見えた。
その顔はまさに意気消沈と言った感じである。
「なんだってあの二人は毎朝毎朝・・・。」
ぐったりとした調子で空いた椅子に座る。
こうして匿ってもらわなければ、ガイの朝に静寂は訪れない。
面と向かおうにも誰があの二人を止められようか。
「ガイってば愛されててるよねー。でもさ、女性恐怖症なんだし?丁度良くない?」
「良くないっ!」
アニスの冗談が冗談に聞こえなかった。
「あはは。でもまぁ、とりあえず今だけは落ち着いておけば?そのうちまた来るだろーし、あの二人。」
寧ろ来ないはずはないと思うけれど。
そんな言葉は飲み込んで、ガイは束の間の平和を満喫する。
しかし、出されたコーヒーをゆっくりと飲む暇も無く。

「ガイ!」
「げ。」
思わずあからさまに嫌な顔をしてしまった。
バタン、と本来聞こえるはずのドアの音が聞えなかったため逃げる暇もなく。
「ガイ。逃げようとしても無駄ですよ。あなたの行動は筒抜けです。」
「・・・なんで?」
「さぁ?それは教えられませんよ。」
どう考えても速い。
今さっきルークとジェイドが出て行ってからまだ5分も経っていないのだ。
部屋に行くので5分はかかるはずなのに。
「ガイ!なんで逃げるんだよ!」
「自分の胸にでも聞いてみろ!」

なんかもう泣きそうだった。
ナタリアたちと言えば二人が来た時点で既に傍観者と成り果てている。
となれば当てになるのは自分だけ。

「あぁもう!こうなったら逃げてやる!逃げられないってわかってても逃げてやるさ!」

「わかってるなら大人しくしていればいいものを。」
そういってまたドタバタと出て行った3人は果たして旅の目的を覚えているのだろか。
ふとそんなことを思ったティアだったが、関わり合いたくはないので口を閉ざしたままだった。




その後、ガイがどうなったかは定かではない。





END






「逃道を探る者の無念」
ルークVSジェイドでガイ争奪戦?
自分が何を書きたかったが一番わからない(・・・
とりあえず、うちのガイ様は可哀想な人以外の何者でもないらしい。


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