「・・・おい、ティトレイ。なんだこの花の山は。」
目の前には黄色い花が大量に積まれ、まるで花畑のように咲き誇っていた。
オレたちは今、聖獣イーフォンの導きに従って、聖なる鳥を探しにピピスタへ向かう途中である。
しかし、砂漠のあまりの暑さにアニーやマオの体力は限界を喫し、無理をさせるわけにもいかず岩場の影で各々休憩を取ることにした。
「おー、ヴェイグ。綺麗だろ?ティートレーイの花畑だぜ!」
先程からティトレイの姿が見えないと思ってオレはこいつを探しに来てみたのだが、なにやら甘い香りがすると思い、そちらを見れば溢れんばかりの花に埋まっ ているティトレイの姿。
この全く木々の存在しない広い砂漠に不釣合いな、というよりも寧ろ有り得ない光景。
聖獣の力を手に入れたばかりのティトレイを心配していたオレが馬鹿だったのだろうか。
「・・・むやみにフォルスを使うな。体力が持たないぞ。」
お前はただでさえ前衛の割に体力が低いのだから、という本人が恐らく最も気にしているだろう点は敢えて口にせず。
「んなこと言ったってよー!勝手にぽこぽこ出てくんだから仕方ないだろ?」
「・・・勝手に、だと?」
「そうそう・・・。あ、また出た。」
ティトレイの言葉とともにまた新しく花が現れ、散々積み重なった花の上に更に乗る。
ちょっと待て。それはある意味フォルスが暴走しているようなものじゃないのか?
そんな疑問を抱えつつも、とりあえずティトレイの傍に寄り、花に埋まっていた身体を引きずり出して隣に立たせる。ぶつぶつと文句を言っていたが、気にしな い。
その短い間にも数十個の花が現れ地面に落ちていく。
「・・・確かに、故意に花を出しているわけではないみたいだな。」
「だーかーら!さっきから言ってんだろ!?」
とは言っても暴走してる、という様子ではない。
だとすればこれは、聖獣イーフォンの力を手に入れたことに関係があるのだろうか。
そこまで考えて、やはり探しに来て良かったと改めて思う。
だが、当の本人はこの事態に特に困る様子も無く、寧ろ面白がっているようだった。
「けっこー良い匂いするんだぜー?ヴェイグもいるか?」
無邪気に笑って花に囲まれている姿にお伽話出てくるお姫様を思い浮かべる。
ティトレイが一方的に話続ける間、ぽこぽこという効果音がなんともお似合いに花がまだ溢れ続けていた。
「・・・そうか。」
「へ?」
ティトレイのその様子を暫らく眺めていたオレはあることに気づく。
勝手にひとりで納得しまったオレに黙って抗議の目を向けるティトレイ。
その時ばかりは何故か花は現れず。
「・・・気がつかないのか?」
「何にだよ?」
オレが気づいた事実にティトレイの奴は全くわからないと言った顔。
きょとんとした全く無防備な表情に溜息をつく。
それが気に食わなかったのか、上目遣いでこちらを睨み、また急に喋り出す。
しかしそれと同時に現れた花は先程までのものとは比にならないほど大きかった。
「げ!?うわっ、でかっ!」
「・・・ティトレイ。」
「あー!もう!どーすりゃいいんだよ!!このままじゃどう見たって変な奴じゃねーか!」
「ティトレイ。」
「・・・・っん!?」
自棄になって大声を上げるティトレイ。
それがいけないのだと、声を遮るために無理矢理唇を奪った。
「・・・な!?・・ヴェイグ・・!?えぇ!?」
オレにがっちりと腕を捕まれたまま混乱してまた声を上げるティトレイ。
「・・・・黙ってろ。・・・そうすれば花は出てこないからな。」






その後ふたりの間に響いたのは何とも甘い、





END





「甘く潤せば」
つまりはティトレイが喋る度に花が出てくる、と。
大量のティートレーイの花に囲まれたティトレイが見てみたい。
・・・どう頑張ってもヴェイ→ティトにしかならないのは何故・・!?(汗

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