「ぎゃー!冷ってぇー!!」
バシャン、と勢いよく水の跳ねる音が聞こえた。
徐にそちらを見れば、当然のように大声で叫んだティトレイの姿があって。
確かティトレイは今まで6人の中でも一番河沿いに道を歩いていた筈だった。
河を覗き込みながら珍しそうに泳いでいる魚を眺めている様子を記憶している。
それはほんの1分前のことであった気がするのだが。
「うっわー!ティトレイってばホントに落ちちゃったヨ!だからあれほど注意した方がいいっていったのにー。」
「う、うるせぇ!」
びしょ濡れで河を上がってくるティトレイの姿にマオは大声を立てて笑う。
今にも二の舞になりそうだとは思うのだが、笑いがこみ上げてくる気持ちはわからないでもない。
笑われる本人にしてみれば恥ずかしいことこの上ないのだろうが。
それを体現するかのようにティトレイの顔はみるみるうちに赤くなってきていた。
「・・・そのままでは風邪を引くぞ。」
「あ、あぁ。ありがとよ、ヴェイグ。」
しかし、荷物から取り出した大きめのタオルを差し出してやれば不機嫌だったその表情もすぐに笑顔に変わって。
本当に目まぐるしく変わるその表情は子供らしさを顕にしているマオ以上のものがあると思う。
かといってティトレイ自身が子供っぽいか、と問われればそうだとは答えられない。
「・・・なんだよ、人のことじーっと見つめて。」
「・・・変な奴だな。お前は。」
「はぁ!?なんだよいきなり!酷ぇな!んなこと言ったらお前だって十分変だっての!」
「お前ほどではないと思うが。」
濡れた髪を振り乱して慌ててオレの言葉を否定するその様もまた子供らしい仕草だろう。
それでもやはり、彼を子供っぽいなどとは思えない。
何故?
「・・・お前はなんでそんなにうるさいんだ?」
「お前なぁ!!何が言いたいんだよ、もう!お前もマオみたいにおれが子供っぽいとでも言う気か!」
言われたのか。それは初耳だ。
だとしたらマオにはティトレイが子供っぽくみえるということなのだろう。
ならば、そういった印象を抱かないオレはおかしいのだろうか。
「オレは、別にお前が子供っぽいと思ったことは無い。」
「へ・・?あ、そ、そうか。そりゃよかった。」
「しかし、そう思わないことが不思議で堪らないんだが。何故だろうな。」
「不思議なのかよ!というかおれに聞くな!・・・泣いちゃうぞ、おれ。」
そうやって泣き真似をする姿。
それをじっと見てみればひとつだけ思い浮かぶ印象があった。
「・・・・そうか。」
「なんだよ。まだイジめる気かよ!」
今にも本当に泣き出してしまいそうな顔見て。

「お前は、可愛いな。」

思ったことをそのまま口に出してみた。
子供っぽい、ではなくて、感じるただひとつの印象を。
「・・・・はぁ・・・!?」




驚いたような、怒ったような。
オレにはそんなお前の表情すら、







END





「何と無い印象」
なんか似たような話をロイゼロで書いた覚えが・・・(ゲフン

back