眠けりゃ眠る。それがおれの流儀。

けど最近たとえ眠くたって寝るに寝れない状況に陥ってるんだよな、これが。
その原因が何かって言われれば最近嫌に視線が気になるヤツ。そう、ヴェイグだ。
おれが旅に付いて来てからしばらくは普通に無口だけどいいヤツなのはわかった。
けど、日が立つにつれて何故か刺さるような視線を向けられているおれ。
・・・別に悪いことした覚えも無いんだけどさ。
そんなこんなで四六時中視線浴びせられたら、いくら鈍いって言われてるおれだって流石に気づくんだよ!
「・・・なぁ、ヴェイグ。」
「なんだ?」
振り向けば当然のようにヴェイグとばっちり目が合って。
それでもヴェイグは慌てた素振りも見せない。
「おれさぁ、お前の気に障ることでもしたか?」
「・・・。」
ヲイこら!なんでそこで黙るんだよ!・・・したの?おれ、なんか悪いことしたのっ!?
「・・・ごめんなさい。」
なんか居たたまれなくなってつい謝ってしまった。
そうしたらヴェイグはいかにもわからないといった風に首をかしげる。
「なぜお前が謝る?」
「いや、だって。おれ、なんか悪いことしたかなー・・・って。」
「・・・お前がオレに対して謝るような事は無いと思うぞ。」
「え、あ・・そ、そうなのか・・?」
じゃあなんでおれはこんなに気まずい思いをしなくちゃなんないんだ。
あの視線が思い過ごしだなんてことは絶対にない。
「じゃ、お前、最近おれのこと見てるよな?・・・なんで?」
「・・・・・・・・・。」
「・・・おーい?」
沈黙がより深くなった。
頼むよヴェイグ。どうかおれに安らかな眠りを・・って、これじゃ死ぬみたいだな。それは勘弁。
でも、ここで黙るってことは・・・
「見てたってのは本当なんだな?」
そう言って下から顔を覗き込んでやる。
するとそこに見つけた顔が一気に赤く染まっていって。
「・・・ヴェイグ?」
「ティトレイ!」
「!は、はい!?」
そんな顔のままヴェイグはいきなりおれの肩を力一杯掴む。
痛みに顔を顰めてはみるが普段より大きな声でおれを呼んだヴェイグの顔は真剣で。

「好きだ。」

一瞬、時が止まった気がした。






その止まったように感じられた時間の中でヴェイグは全力で逃走。
既に後姿すらみられない。
おれはといえばいつの間にか顔が熱くなってて自然と口がパクパク動いてる。

「・・・い、今のって、何・・・?」



眠けりゃ眠る。それがおれの流儀。
だけど、しばらく睡眠不足になりそうで、顔の温度も下がることはなさそうだ。







ヴェイグの、バカ。






END





「安眠妨害の人」
あれ?ヴェイグのキャラがなんかおかしい・・?(汗

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