英語の資料は宝の山


 これからの日本の工業界で物創りをしていくうえで英語が重要であるという事例の一つを紹介します。

 現在の工業界において機器制御用として急速に採用されているマイクロコンピュータの
心臓部であるCPUはアメリカの Microchip Technology Co.が生産しているPICシリーズ
であります。
 このCPUを採用することにより、周辺素子の大幅な削減が出来ます。
 ほとんどのことがPIC本体の小さなチップのみで入出力制御が出来ます。
 昔Z80や6800等を使い、多くの入出力インタフェースLSIを付随させて構成したコンピュータ機能が
ほんとうに1チップで実現出来ます。使わなければ大きな損です。
 さて、このような製品を使うとすると当然にマニュアルを読むことが必要になります。
  しかし、これのマニュアルは当然に英語版です。(一部シリーズは日本版がありますが)
  このPICマイコンの種類は多く、とても全製品についてマニュアルを発刊することはとても
出来ないのが現状です。従って英語版に頼らざるを得ません。
 さて次の文書がある機種についての英語版マニュアルの表紙です。


上の表紙の部分には全体の機能について概略的説明がされています。
ここからページをめくっていくと徐々に構成回路や命令コード等についての詳しい説明が
英文で書かれています。
 さて、この文書中の「ここを注目」とマークした所に注目してください。

 ここの部分は、外部回路と信号をやりとりする出入り口に相当するポートという部分に
ついて述べている所です。
 要約するとポートBにおいてはプルアップの処置が内蔵されているよということを解説しています。
 プルアップとは信号の出入り口をあらかじめ抵抗を接続して特定の電圧につり上げておく処置のことを言います。
 この機能を表現してプルアップ(pullup)と名付けたのは大変分かり易いのですが、これを電子の専門家
外の人には何と訳せば良いのかとまどうかもしれません。
 やはりその道の専門が分かる人が自分の専門領域に関する英語の会話力を付けるべきです。
 この逆の道を日本は進んでいるために英語が分かる東南アジア国から負けているのです。

 さて、この僅かな一文に気づいた人とそうでない人との間には大きな相違が生じます。
 それが次の図です。

 (1)がこの一文に気づかなかった人の回路、(2)はこの一文を理解している人の回路です。
  ここで8ケの抵抗が(2)では使われていないことにお気づきでしょう。
 すでに解説文にあるとおりプルアップ機能が内蔵されているので、わざわざ外部に抵抗を
付ける必要はないのです。
 
 抵抗1ヶが10円とすると計80円、このような箇所は一つの基板中に何カ所もあり、仮に月に
1万枚も生産すると総コストの差は巨額になっていきます。
 本例は、多くの事例の中の極く一部についての提示ですが、実はこのような部分が電子部品の
性能には数多く存在しています。果たして日本のエンジニアは全てを自分で確認して設計して
いるのでしょうか。アメリカ人や英語の通じる東南アジア諸国では当たり前のことが日本人には
気づかないままになることの方が多いのが現状です。これが現在、台湾、マレーシア、シンガポール、
韓国等の東南アジア諸国から追い抜かれている大きな要素になっており、今後はますますその差が
開くものと憂慮されているのです。
 このようなことからももう一度英文マニュアルを熟読することが私たちには重要なのだと考えます。
そしてこのことを一人だけで実現するのは大変です。仲間同士での情報効果が大事です。
 いつも語り合える気質を持つことがエンジニアの大事な気質となります。
 どうか宝物を得るヒントが英文マニュアルの中に隠されています。大事にしながらご活躍下さい。

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