緑に囲まれた夢のレストラン

 山形県の最北の町、秋田県がすぐ隣になっている町が金山町である。
 金山杉の名は全国的に知られている。
 金山の町は町内を綺麗な清流が流れ、独特の形態の住宅、金山住宅が
 立ち並ぶ瀟洒な町である。
 なんといっても一番金山を有名にしたのは明治時代に訪れたあのイザペラバードが
 訪れた地としてであろう。
 彼女が書いた「日本奥地紀行」には金山は「ロマンチックな雰囲気の場所である」
 と書かれている。
 その金山の町の東方には宮城県との境に神室岳が聳えており、その下方にある
 のがカムログリーンバレーである。
 ここには立派なホテルがありゆっくり滞在できるリゾート地になっている。
 ホテルのレストランでの食事も楽しいが実は近くに知る人ぞ知るレストランがある。
 名前は ラ・カスターニャ という。
 名前でも分かるとおりイタリアンレストランである。
 料理はもちろん美味しいが実はここの売りはレストランを取り囲む景観である。
 周囲は全くの緑である。緑の中にレストランがあるという立地状態である。


 

 室内からも外の景観を楽しめる。




 次の写真の右手下方は沼であり水面にハスの花が咲いていた。

 トンボや蝶が飛び交いセミの声もしきりであった。
 
 

 肝心の料理を紹介する。
 次の写真は前菜の写真である。
 地元の食材を使った独特の料理になっている。




 厳寒フロントにあるレストランの看板もしゃれたものである。



 オーナーの奥様はイラストや絵が得意でポスターやパンフレットも全て手製だそうなので
 この看板もそうなのかなという気にさせるものがある。
 さてこのレストランの室内から外を見ると遠くに数頭の馬が遊んでいる。

 それもそのはずこのレストランはカムロファーム倶楽部という乗馬や木のクラフト工作等
 を楽しめる自然体験所の中にあるのだ。

 自然体験を楽しみ、その後に美味しい料理を楽しむという仕掛けになっているわけだ。

 さて、更に目を別の方に向けると奇妙な建物が目に入る。



 そばによってみると独特の形態であるのが分かる。



 中に入れるので入ってみると円形の講堂のような形になっている。
 二階から下を見た写真が次である。




 牧場の草刈りをしている方にいろいろ聞いてみた。
 建物の名称は「日輪舎」というとのこと。
 昭和18年頃の満蒙開拓団の研修所として使用されたとのことである。
 この建物の中で満州に開拓民として挑戦する人たちに国が必要な事柄を教えていたの
 だろうと考えると当時の緊迫した雰囲気が伝わってくる。
 この建物は全国的に各地で作られたのだそうだが残っているのはわずかだそうだ。
 それにしてもよくぞ雪の多いこの地にこの建物が残っていてくれたものだ。
 これからも大切にして残していって欲しいと強く思った。

 さて、このレストランは料理だけでなく自然や歴史、散策を楽しめる素晴らしい環境にある。
 実は私はこのレストランを紹介したくはなかったのだ。
 今だとあまり客は来ないのでゆっくりのびのびと食事を楽しめるのだが知られてしまうと
 このテーブル数の少ないレストランはすぐ満員になり待つことが多くなってしまう心配が
 生じてしまうからだ。
 でも一度は皆さんが訪れてくれると都会の中のレストランだけがレストランではないという
 ことを認識してくれるのではとないかと期待しています。


 
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