奇勝 くぐり滝を探る  平成21年7月3日取材


山形県南陽市の西北の山中に奇勝くぐり滝がある。
山形市からは西へ国道348号線で進み小滝の集落を越えて
白鷹トンネルの直前に左側に下へ向かう側道が出てくる。
この道を進んだ先に目的のくぐり滝がある。
国道には「くぐり滝」と書かれた標識が出てくるので分かるはずである。

何故くぐり滝という名称で呼ばれるのかは現地でその姿をみれば
なるほどと理解するはずである。
私は今から30年ほど前にまだ348号線が開通しない頃に行った
ことがあったが当時は道らしき道もなく心細く訪れたことを覚えて
いるが現在は比較的道は整備されている。
途中には立派なダムが出来ており車で行くのには支障がない。
 

この道の終点は小高くなった地点にある広場となりそこが駐車場になって
いる。10台位は停められるスペースがある。
そこに車を置き、今度は低い谷底に向かった道を下る。
その道には立派な木道が整備されており自然を壊さないような配慮がされ
ている。


そのまま10分ほど歩くと前方に滝の姿が現れる。
滝は大きく2段に分かれている。


この滝が奇勝と言われるのは最も上の部分に特徴があるからである。
よくその部分を見ると次の写真のようになっておりそこは岩をくりぬいたアーチ
状になっていて水はそのトンネルをくぐり抜けて流れ落ちて来るのである。


もう少し詳細に拡大して見てみよう。望遠レンズでアップしてみた。
アーチの向こうに別の世界が見えてきた。


さっそく岩洞の奥の世界を訪れたくなり道を探した。
しかし岸壁は登れないし正面からはどう見てもいける道が無い。
その時この滝に向かう道の手前に「沼に至る」という看板があるのを思い出した。
沼があるということはそこが水源なのではないかと推測した(後でそれは誤りと
分かったが)。そこでその道を辿ってみた。
道は谷間に沿って進みやがて大きく分かれたV字状の地溝帯に出会う。
どうもこの辺かなと思いそのV字帯を抜けたら滝の裏側であった。
次の写真の下部が落水している水の部分である。

もっとアップして見たいと思い水の落ち口まで行ってみた。
次の写真の右下の部分があのトンネルから落ちている水の部分である。
しかしこの写真を人に見せたら危ないことをするなと叱責された。
まったく今考えると滑って落ちたら命は危うかったなと反省をしている。

さて今回も何とか奇勝くぐり滝の裏表を探訪することが出来た。
この地を通る道は米沢地方から月山に詣でるときに通った行者道であり
宗教色の濃いものとなっている。
そのために歴史は古く、途中には必ず古い神社が祭られている。
その神社も流水から守るためであろうか必ず山の中腹の高台に祭られている。
私はお参りをするためにそれらの神社に詣でたがやはりそこも道が悪く登るのに
難儀した。
この一帯は348号線からは相当離れており、更に最も近い部落まで6キロ
近く山の中を歩かなければならない地点であるためにあまり人の手が入って
いない。
このことが幸いしてか自然が一杯である。
ただ熊に注意の看板は至る所に在り何とも不気味な地域である。
ぜひ多くの方にこの奇勝を知っていただき昔の縁(よすが)を懐かしんでいただければ
と思い掲載をした。


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