長井市の県指定有形文化財の「丸大扇屋」と
 「長沼孝三彫塑館」を訪ねる

                                     平成24年4月7日
 4月になれども山形県は未だ冬の気候である。今年の春は遅いと誰もが
 感じている。
 新聞に冬期間閉館していた県指定有形文化財て゜ある長井市の「丸大扇屋」が
 冬期間の閉館を終えて開館したとの新聞記事を読み即見学に出発した。
 しかしここ長井市は県内でも有数の積雪が多い地域である。
 庭にはどっさりと大量の積雪があった。
 写真のとおり雪が舞い散る天候であった。とにかく寒かった。


 店は300年前から続く老舗であった。呉服商を営む商家であった。
 建屋は母屋、店、店蔵、内蔵、新蔵、味噌蔵、新座敷からなる広壮な
 建屋である。


 次の写真が店のものであるがここに番頭などがずらっと座っていた
 のだろう。

 
 奥は座敷になっていて客を招く囲炉裏や賄いようの台所などが縦長に
 展開されている。今でも床はピカピカである。


 独特のものに水回りが家の中に回り込んで構成されている。
 昔は小川の流れをこのように家の中を通しそこで洗い物をしたり
 するのが一般的であったがここにはその名残がきちんと残っている。
 水は右手から入り左手側に抜けていく。


 座敷を見たところである。


 珍しい電球がある。構造はエジソンが作ったものを基本にして材質のみ
 現代のものにして作らせたものだそうである。
 ここ丸大が特注で結構多く発注したものでまだ現品があるそうである。
 希望すればお分けするとのことであった。価格も安く2000円しなかった
 と思う。
 色は温かなおだやかな雰囲気を醸し出すランプである。
 このランプ一個の光量が建屋内の全部のローソクを灯したみのと同じだ
 そうでやはり昔は暗かったのだなと再認識出来た。
 

 昔の秤もあった。懐かしい。


 さてここにはもう一つ大事な施設がある。
 それは長沼孝三彫塑館である。
 ここの三男である長沼孝三の作品を収納した館がこの丸大の屋敷の
 後ろ側に縦に並んで併設されている。
 長沼孝三は明治41年に当地で生まれ東京美術学校彫刻科で学んだ。
 彫刻では日本の第一人者となった。朝倉文夫とは仲が良かった。
 ここ長沼彫塑館は東京台東区谷中の朝倉文夫彫塑館を相当に意識して
 建造したのではないかと思う。
 残念なことに朝倉文夫彫塑館は昨年の震災で建物が危険となり現在
 閉館していることである。平成25年4月からは再会とのことである。
 丸大扇屋の建物を後ろの方に抜けていくとそこに彫塑館がある。
 屋根の頂上から自然の光が十分に採光出来るようになっている。


 一般に彫刻家はいきなり大きな彫刻を造るのではなく最初はミニチ
 ュア版の作品を作り、次にこれを基本にしていろいろ検討を加えて
 本番の大きな彫刻を造るのだが、当施設の作品群にはこれらの比
 較が出来るように互いに対で展示されているところが嬉しい。
 次の作品は直径が15センチくらいだろうか。

 次の写真が前の作品をもとにして造った実際のモチーフである。
 伊佐沢の花笠踊りの踊りの一連の様子が彫刻されている。
 まるで踊りだしそうである。
 こちらは大きく直径は80センチ前後はあるのではなかったかな。


 全て館内はあたたかな暖色の照明で照らされ落ち着いた雰囲気で
 ある。


 以上簡単に「丸大扇屋」と「長沼孝三彫塑館」を紹介しましたがここ
 は是非来てみる価値のある所です。
 最後に当施設周辺の地図を提示しておきます。



  戻る