県内一の大杉 松保の大杉を訪ねる 平成30年11年9日
                                第一回 失敗の巻

 山形県の西部にある大江町の山中に山形県一の高さのある大杉があると聞いていた。
 その杉のある所は山形県大江町小清字松保(まつぼ)547乙という住所にあるという。
 しかし、誰に聞いてもそこは一応の住所であって道もあるか無いかの地域だという。

 山形新聞の平成30年7月23日版にこの杉の大木への紀行文が掲載されていた。
 この記事を読んで一層訪れてみたくなり平成30年11月9日に訪れようと出発した。

 実はこの小清という地区には私は浮島の大沼の近辺から何回か通っていたので
 松保はこの道からの分岐道にあるので土地勘はあるつもりでいた。
 ただこの近辺は本当の山奥で熊は当然いる所なので徒歩での探訪などは出来ないし
 やるべきでないだろう。
 今回はこれまでの逆の道を辿ることにして大江町柳川温泉に行く道の方から辿ること
 した。
 地図は次に示とおりである。緑色の線が今回向かおうとしたコースである。
 
 さて、目的地までの地図を示してみる。経路を見ると分かるが相当に迂回の道が入る
 長い経路である。

 
 最初の地点(地図の左上の緑色の線の始点)には次の写真のような立派な
 看板があったので安心して出発したのだが。


 又立派な案内看板が出てきた。


 このあたりから何か不安な様相が見えてきた。


 道はどんどん狭くなってきた。


 ここまで来てもユーターンする場所は無い。


 道は下の方に向かい、更に左に山裾を巻いていくようだ。


 ここで考え込んでしまった。。それは行動手段である。
 先に述べたように熊がいる場所に一人で歩いて行くなどは出来ない。
 また車の場合でも問題山積である。道は狭くうねっており、片側は
 崖の部分が多く路肩も草と木々に覆われていて端が良く分からない。
 しかもUターンする場所などここまでも無かった。
 また、私の車はプリウスだ。電気自動車が故障したら動かさないで
 レッカー車が行くまで停車して待っていてくれと言われていた。
 しかし、こんな所へレッカー車が来れるわけがない。来たとしてもどこで
 向きを換えて私の車を積み込むのだ。
 更に携帯は電波の届かないエリアとなっている。

 考えると考えるほど単独行動は慎重にする必要があると思われた。
 そこで今回は無理と判断し思い切って戻ることにした。
 来年になったなら軽トラックを持っている同じ趣味の友人を誘い再挑戦
 することにした。 残念。

 しかし、このまま帰るのでは面白くない。どこかに寄れる場所は無いかを
 考えた。
 実はここに来る途中の山で平成6年4月に御館山という山の山頂付近で
 大規模地滑り災害が発生した地域を通り過ぎてきていた。
 小清地区で発生した地滑り大崩落災害だった。
 この地点が今どのようになっているかを確認してみたくなった。
 地図のピンクの色の線の道が災害現場までの道程である。

 そこでさっそく道を戻ってそちらの林道に入っていくことにした。
 なお、松保の大杉についての資料は町が出している広報誌に詳しく掲載
 されているので下記に紹介しておく。
  https://www.pref.yamagata.jp/ou/kendoseibi/180032/keikan/keikanshisan/keikanshisan_murayama/matubonooosugi.pdf
 
 さて、災害発生の現場であるがここは左沢から柳川温泉に行く途中から望見
 出来る。
 下の写真で中央の山の山頂下に土がむき出しの所が見えるがそこが崩落の
 現場である。とにかく山の斜面全体が稜線から下が崩れたのだから大変な
 土砂が麓に流れ込んだ。
 今回はこの土がむき出しの所に行ってみたのだ。


 現場に通じる道がある。工事用の車両を通すための道路が通じて
 いる。
 この写真の最上部から大量の土砂が下に向かって流れ落ちたのだから
 すさまじい衝撃だったのだと思う。


 とにかく山全体が崩れたのが分かる。



 流れ落ちた土砂の流れの様子を上から見たところである。
 相当に急傾斜であった。


 現在は土砂崩れ防止工事がなされている。
 これは斜面の土中の水を抜く井戸だ。
 このような井戸が何か所かありこれで斜面に溜まった地下水を
 抜いている。


 これはV字状の谷間の一番下の地域である。
 ここに土砂崩れ防止の柵が何か所かあるが実際にもう一度
 発生したらとてもこれでは止められない。
 でも無いよりは精神的に支えになるのだろう。


 さて、今回の探索は本来の目的地には行けなかったが、その代わりに
 山腹崩落という大きな災害の現場を訪れることが出来た。
 ここに来て分かることは災害発生など予知できないし、もし発生したら
 人間の力では防げないという事実だ。
 ぜひ、ここに来て災害発生の恐ろしさを少しでも感じてみてはどうだろうか。
 



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