部落再訪シリーズ  大石部落を再び訪ねる
                                2019年5月18日
 山形県南陽市と長井市の間の山間部に大石部落がある。いやあったと
 言うのが正しいのだろう。
 今回訪れてみて驚いたことにあの村は完全な廃村になっていた。
 前回平成元年頃には何回も訪れていたのだがあの頃は村は多くの
 人たちが居て新緑に囲まれた家々が穏やかに存在していたのだが。
 まず地図を掲載しておく。
 下の地図ですぐ下の部分にある白鷹町という名前のすぐ下にある上大石が
 今回の目的地であった。




 私は今回この上大石地区を通り抜け地図の右上の太郎という部落の上にある
 地図外の萩という部落に林道を抜けたのである。
 丁度このエリアは各市町村から離れた地域であるため比較的人が入らない
 所が多い。案外身近の秘境と言えるのかもしれない。
 高い山は少ないが藪が濃密で初夏からは歩くのに苦労する。
 さて、大石という部落は以前は人が多くいたという証拠をお目にかける。
 部落の最上部の地域に写真のような山門がポツンと寂しそうに屹立している。
 今は守るべき部落が無くなりこの門だけが残っているのである。
 

 寺のあった所に昇ってきて振り返ると門が立派に立っている。
 この雪の多い所なのによくぞこの柱だけで持っているものと感心する。
 この写真の周辺には昔来た時には立派なお寺があったのだが今回は残骸になっていた。


 ここ大石という地名の元になった「大石」が悠久の時を経ても厳然として
 鎮座している。
 前に来た時は何回もこの巨石の上に登った。
 この巨石を目当てのハイキングがあったなぁ。あの頃は賑やかだったんだが。


 肝心の村の現況を紹介する。
 次の写真のような光景が次々と出てくると本当に寂しくなる。


 昔はここで大勢の子供や大人がイキイキと生活していたのだ。
 やはり平成になってから山の生活は極端に厳しくなっていった。
 都市は栄え、地方は滅ぶということの表れか。寂しいなぁ。


 さてここ大石を過ぎて地図にはないエリアを北東の方向の山域を目指す。
 この山間を抜けると山形市に近づけるのだ。
 でも林道を20キロ以上走ることになるので油断は出来ない。
 ようやく林道も終点に近づくと突然険しい谷を越えた長大な鉄骨の橋が表れる。
 置賜大橋だ。この橋は不便な林道にあるために見に来る人が少なく案外
 人に知られていない。


 下は深い谷間になっていて落ちれば誰も見つけてくれないだろうと思われる
 程に深山幽谷の地になっている。下は谷川だが覗いても川は樹木に覆われ見えない。


 橋の大きさがお判りでしょう。




 今回の旅でも感じたのは日本の力がどんどん衰退していることである。
 昔はこのような山間にも人が居て、林業、鉱業が盛んで山間の村々を
 繋ぐための橋も必要とされた。
 それが年々人が居なくなっていく状況を見ると暗澹とした気持ちになって
 しまう。頑張れ日本と大声で叫びたくなる。

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