秘境シリーズ ダム篇 八久和ダムを訪ねて その1


 山の話をする度に山形の山もゆくところが無くなったということを聞きます。
 しかしチョッキの連中(釣り愛好者)は「いや違う、山形の沢、特に朝日山系の谷は素晴らしい」
と言います。そしてそれらの出発地に八久和ダムが位置づけられている。
八久和近辺は自然が残っている秘境だとよく言います。

 私はこれらの話を聞き八久和ダムにぜひ行ってみたいと思っておりました。

 平成14年9月27日の晴れ上がった日に月山ダム側から接近を試みました。

 まず月山ダム湖の西側の道路を南進していきます。車で大丈夫ですが工事の
大型車両が行き交いますので十分に注意して進んでください。

 やがて次のような珍しい形の長大な橋(490m)が現れます。
 分かりにくいのですがローマ字のTの形をしており名前は「あさひ月山湖大橋」といいます。

 橋の上からは旧道を見ることが出来ます。よくこんな所を通ったなと感嘆します。

だんだんと湖は狭くなり渓流となっていきます。


さて、ここの渓谷に奇勝が存在します。「弘法の物見岩」と呼ばれています。
これも月山ダムが満水状態となれば水面下になると言われています。
ぜひ、今回見ておかなければと思い挑戦しました。



とにかくどんどん進みます。すると沢の途中に次の橋が見えてきます。ワサビ橋といいます。

 弘法物見岩への接近は困難でありますがこの橋の上から遠望することが出来ます。
 橋の上からの眺めです。この一番奥に見えるのが物見岩です。

 これでは分かりにくいので望遠レンズ(210ミリ)で見たのが次の写真です。

 正面左端の大きな岩のブロックが弘法の物見岩です。
 この地点は正面の右側からの湯殿川とこちらの八久和川(梵字川と書かれている時もある)
との合流点であり大雨の時はすさまじい情景になると言われています。
 この地点は上流で雨が降り数時間してから突然鉄砲水となり襲ってくるし、
 この辺は逃げ場がないのでまず近づかないのがベストです。
 我々はこのような橋の上から眺めるのが丁度良いのかも知れません。
 しかしこの橋からの眺望も危険なのです。注意して下さい。
 当日は大変に晴れていたのですが強い風がこの谷間を流れていました。西からの地形上の窓の
状況にこの谷がなっているために風の通り道になっているのです。
 私はワサビ橋を渡ろうとして歩き始めましたが風が強く立っていられないのです。
 欄干は低く、細い支柱だけなのでまるで一枚の板の上を歩く心地です。
 下は数十メートルあり、とても下を向いていられません。
 しかし写真は真ん中辺でないと撮れません。格好悪いが風でばたつくジャンパー類を脱ぎ捨て
四つんばいになり撮影しました。風がなければ大分楽なのでしょうが当日は駄目でした。
 周囲は人っ子一人いない状況で心細く早々と切り上げてきました。
 皮肉なことにこの一枚の写真を撮ったところで無情にもフィルム切れとなりました。
 この強風の中を改めて車に戻りフィルムを持ってくる元気は無くなっており一目散に
 逃げ帰った形になりました。

 さて、第一場面の物語はここまでです。道路はこの地点から上流には行けません。
 二重三重の通行止めのゲートがありこれを除けて進む蛮勇はありません。
 とりあえず平成14年9月27日はこの地点で引き返しました。
 (秘密 これは優等生の答えです。実は私はここで車を降り、
  歩いて八久和ダムに近づこうとして 無人の渓谷添いの道を歩き始めたのですが、
  突然道の上の方で ガサガサ、ザザーという大きな動物の逃げる音が聞こえたのです。
  ギョッとしました。恐らくカモシカだったのでしょうが、私はもう進む勇気が無かったのが
  実情です)

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