<人の物語>

くじら餅博士の高橋雄一さん

住吉町の菓子店、菓匠たかはしの高橋雄一さんは、「くじら餅」のルーツやエピソードをまとめた「くじら餅物語」を発行されています。
くじら餅は新庄市内で和菓子を扱っている菓子店では必ず売っている新庄名物の菓子です。
もち米とうるち米、黒砂糖、クルミなどで作ります。
江戸初期から作られ、一昔前までは家庭でもよく作られていた定番中の定番菓子です。

「海もないのにどうして『くじら餅』というの?」と、菓子店を営む高橋さんは観光客からよく尋ねられるそうです。
「一度『くじら餅』について調べてみよう」と文献を探し、読み、図書館にも通いながらこつこつと調べられたそうです。

高橋さんのまとめによると、くじら餅の語源は諸説紛々だそうです。
くじら餅が今より大きく、米1升で1本といわれ、重さ約2・2キロもあって、形が塩くじら(クジラ塩漬け)に似ていたからという説。
また、くず米を粉にして作った餅「くずら餅」が転訛(てんか)した説や、新庄藩の兵糧食として始まったなど多数あるがどれも決め手に欠け、わからないのが結論だそうです。
冊子に掲載されているのは、これまで書きためたもののごく一部で、語源やルーツ、砂糖相場を左右したほどのにぎわい、芭蕉とくじら餅など原稿用紙約150枚から選んだ23のエピソードにまとめられています。


高橋さんは、くじら餅の研究から江戸時代のくじら餅も再現したことがあるそうです。
享保年間(1716〜1736)に書かれたカステラやボーロなどの西洋菓子なども解説されている菓子専門書「古今名物御前菓子秘伝抄」に「くじら餅」が高級菓子として紹介されていて、この本などを基に大きなまさにクジラのようなくじら餅を作り、店頭に展示されました。

1932年に父民蔵さんが米菓せんべい店を始められたということで、54年に跡を継いでからでも半世紀以上となり、菓子職人として「くじら餅は地元の伝統ある食文化。胸を張って紹介したい」という思いが強いそうです。

くじら餅は、新庄のひなまつりには欠かせないお菓子の一つです。
雪国の新庄では、月遅れで4月3日にひなまつりをするところが多く残っています。
一年中、みんなに愛されているくじら餅でも、やっぱりみんなで楽しいひなまつりは格別の出番です。
桃の花やひなあられと一緒に、くじら餅がお飾りされたときに、高橋さんの「くじら餅物語」を読んでみるのもいいですね。


観光さくらんぼ園の中川さんへ