時間と工数(段取り時間と段取り工数)

 

工場で物を作る場合、無人で行なったり、逆に全く機械を使わずに人手のみで行なうことはまれであり、通常は、人が機械(又は治工具)を使って生産活動を行なっている。これをマン・マシン作業という。ところで、このマン・マシン作業を、考えてみると昔は、1人の作業者が1台の機械を動かしているという姿が多くあったが、最近においてはこのような1マン・1マシンは少なく通常は、

 ・1人の作業員が多数の機械を動かす(多数台持ち・多工程持ち)

 ・1台の機械を多人数の作業員で動かす(連合作業)

のいずれかである。さらに最近では、多数の作業員で多数の機械を動かすというグループ作業方式も多く見られるようになってきた。

 このような状況の中において、物を作るに要する時間を考える場合に注意しなければならないことは、時間には機械の時間と、人の時間の2種類の時間があるということである。例えば、プレス作業で1台のプレスに2人の作業員がついて、プレス加工を行なう場合、加工に要する機械時間は、0.1分であったとして人時間は、0.1X2人=0.2分となる。機械時間とは、機械の立場よりみて物を加工するに要する時間であり、人時間とは、人の立場より見て物を加工するに要する時間のことである。

 この2つの時間の区別をはっきりさせる為に、物が加工されるに要する時間を「時間」と呼び、人の立場より見て物を加工するに要する時間を「エ数」と呼ぶ。

 このことは、段取り作業においても同様で、段取りの為に機械が停止する時間は段取り時間であり、段取りに費やす作業者の時間は段取り工数である。