検査部門省力化の鍵は検査部門にあるのではなく、製造部門の工程にある。工程の管理が徹底し、て、製品品質が安定すれば、検査の人員は、おのづと少数になる。
①加工、運搬、停滞工程および、検査工程でのすべての異常を、報告書による報告システムを構築する。「止める」「呼ぶ」「待つ」の考え方の徹底を図り、異常の定義を徹底する。
②異常報告書の数を半減から半減へとする活動を続ける。1つの工程の不良率は0.1%以下またはゼロを目標とする。(ここの目標は、現状を見てというより、次工程の研究を進める。)
③要すれば工程能力研究を行い、工程能力指数を1.3以上とする。
④作業標準の質をあげ、守る方法を研究する.
⑤プロセスチェックを組織的に実施する。
(1)すべての異常を報告する制度を作り上げる。
加工、停滞、運搬、検査工程で発生するすべての異常を報告書にまとめ、これを長に報告する制度を設ける。長が多忙のため、まとめ解析が出来ないようであれば、この時点で進め方を再考する。このシステムを作ることで、製造部門の意識革命ができる。報告書の内容は以下の項目があればよい。
①発生年月日、時刻 ②発生工程、機械 ③ロット番号、製造指示書番号 ④内容 ⑤原因(明らかな場合) ⑥処置 ⑦製品発生箇所 ⑧作業者 ⑨その他
(2)異常報告書の件数の半減から半減への活勣をつづける異常報告書を不良種類別、機械別などに分類し、件数の大きなものからとりあげる。取り上げ方は関係者とともに行う。現場の観察、KJ法などを用いて現場の人たちの意見(これまで困ったこと、気にかかること、関係がありそうだといったすべてのこと)を吸い上げる。これらの1つ1つの項目をあげて必要な処置を行なう。(ミクロ管理という人がある)
これらを行っても不良率“グラフの点”が動かなければ“バラツキの世界”に問題があるのではなく、品質設計、製造設計に問題があるとみてよい。たとえば配合の変更をするのは製造に基因するバラツキの原因をすべて処理してのちの処置としなければならない。
なお、現場の長は、現時点でどの程度の異常検知能力があるか。常に摑んでおくことは当然の業務である。
(3)工程能力研究を行ない、工程能力指数を1.3以上とする。
工程能力とは作業か統計的な管理状態にあるときの工程の正常な動き、すなわち外部原因によって妨げられることなく作業し得たときにつくり出される結果である。
工程能力は不良率とか分布(Xとσ)で表されるが、後者の場合は、狭めることのできないひろがりをもった分布をいう。(せばめることのできないとは、経済上これ以上せばめられない意味である。)
工程能力研究は工程能力1.3へ近づける研究である。異常報告書の件数の半減活動をすすめていくうちに、多くの場合1つまたは2つの工程で異常報告書の件数が減らない個所がでてくる。この工程に目をつけて工程能力研究を行う。
工程能力研究には管理図を利用するとよい。
工程能力指数が1.3以上であれば選別作業を全数やめて、抜取に移行するか、検査を省略する。
(例) ある工場で、ある製品について、規格できめられた品質特性の工程能力指数を調査し、1つ1つの品質特性ごとに検討を加えて、工程能力指数1.3以上の特性の省略を行ない、検査標準を改訂し選別作業の人員を半減した例がある。工程能力指数を把握して処置することの外に、1.3以下のものを1.3以上にする活動が大切である。
(4)作業標準の質を上げ、これを守ること。
これについては、各職場で考えてください。なお、作業標準は見なくとも製造が出来るようなモノづくりシステムを作り上げることが、大切である。
(5)プロセスチェックを組織的に実施する。
プロセスチェック・チェッカーの任務は-----この人材がいなければ、この省力化は出来ない。如何に人材が必要か?下記をみて感じてください。
①維持の面
a)作業が正しく行なえる状態があり、作業を正しく行なっているか。
◎点検
・管理図への測定、打点と、管理図から異常の有無で確かめる。
・異常の場合の工程チェック(現場と協業する)
・毎日点検
・量、質、コスト、安全に関する気になることを集める。----チェック・ポイントがでてくる。
◎結果の報告
・毎日点検
・ブロセスチェック報告書の発行(1件1葉とする)
b)工程検査
◎抜取検査
・不良の予防をねらって、工程間でサンプリングを行なう。
・規格値、設計値、作業指示と実際との照合
◎工程検査員への指導、助言
②改善の面
◎調査
・工程能力把捉のための調査(スタッフと協業する)
・作業改善、標準化の調査(スタッフと協業する)
・不具合点の原因調査(スタッフと現場と協業する)
◎報告
・長期のデータ作成
・諸調査報告
プロセス・チェッカーは製造部門の工程検査部門におく。
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