手順2 これまでの検査部内が担当している「選別作業の実施」を製造部門に移管する。一般的にはインライン検査と称している。加工したところで責任を持って後工程に送り込む。
 
 この手順の内容は次の3つに要約される。
 @トップ層の決心
 Aこれまでの検査部門の長の積極的な態度
 B綿密に計画された移行準備

1)トップ層の決心
 トッブ層の決心は何といっても、先に述べた基本的な考え方を理解することにある。理解のためには------------

@すでにこのようなことを実施している工場の見学の機会を自らを含めた多くの人に作る。
A社内外の経験者からの話を聞く。
B社内の中堅幹部からの意見をまとめる。

次に トヅプの決心を拒むものは---------
@高い不良率。
A頻発するクレーム。
B関係者の品質管理の勉強不足。
 勉強不足とは工場の半数以上の人たちが、面白がって品質管理を実施していない。やれといわれたから“らしきもの”をやっている状態をいう。
Cトップ層の品質管理の理解と納得不十分。
部下には品質管理を勉強しろといいながら、自らは勉強しない。トップ層は経験によれば3つの層に分かれる。
*反対-----そんなことをしても変りはないという気持の人。
*無関心---自分には関係ない。製造部門でしっかりやればよい。
*賛成-----大いにやれ。上記の反対・無関心の人たちに逐次トップセミナーなどへの参加をすすめる。この人たちは社内の下の人たちの力で動かせないが、この中の反対の人たちは有力な味方(賛成)になる人である。

2)これまでの検査部門の長の積極的な態度。
 社内に品質管理の考え方がゆきわたっていれば、これまでの検査部門の長の積極的な態度は容易に受け入れられるが、このような“空気作り”のないところでは、これまでの既成概念の立場にたって反対か、消極的な態度をとる。一番いいやり方は、品質管理のよく分った人を、新しい品質保証部門の長とすることが望ましい。

3)綿密に計画された移行準備。
 製品担当重役、技術担当重役の了解のもとに、以降準備を行なうが、これの内容は次の2つの項目がある。
@問題を明確にする。
A現状を把握し、処置をする。

@問題を明確にする。
 多くの工場では次のような現象がある。
・検査部門と製造部門が分離独立しているため、部門間の情報か満足された状態にない。
・検査部門だけでは、製品の品質保証は難しい。
・検査速度が製造能力の増減に追いつけない。
・検査部門、製造部門、倉庫部門の間に余分な伝票、連絡と、これに伴う事務量が発生している。
・検査部門と製造部門に重複した選別作業がある。
・測定器具類が検査部門、製造部門に重複してもたれている。
・検査部門と製造部門の間に感情的なわだかまりがある。
・教育、訓練が一元化されていない。
・専任の品質管理専門スタッフがいない。
  問題には軽重があるが、移行の中心となる人をきめることが、まずしなければならぬことである。

A現状を把握し処置する。
 主な項目をあげると

・これまでの検査部門の任務の1つである品質保証機能を拡大する。
・従来の検査部門の任務の中にある選別作業を製造部門に移管する。
・従来の検査部門から倉庫部門への庫入業務は製造部門に移す。
・品質保証部門は試料採取権、品質監査、品質管理など、消費者の立場に立って品質設計から、製造、販売までをチェックしその結果を関係先と上に報告する。