山の自然を守るため

2. 遊佐町.三ノ俣 ブナ林伐採スキー場計画 




 雪の降り始めや雪解けの頃に、鳥海山の遊佐町方面の南西斜面に「く」の字を裏返しにしたような変な「雪形」が見えますよね。山の「雪形」といえば鳥海山にも「種蒔きじいさん」など呼ばれるのが見えますが、その地域での季節の風物詩で本来はほのぼのとした思いがあるものです。
 ところが、南西斜面の雪形は庄内平野から鳥海山を見るたびに、まるで「顔にキズをつけた」かのような雪形です。じつはあのキズは山の自然な地形ではなくて、ブナ林の伐採跡なのです。ここでもまた、開発の名の下での鳥海山の自然破壊がおきていました。



1965(S40) 国定公園内で国の許可を取り、国有林を一部伐採し「月山森スキー場」としてスキーコースが整備される。
1973(S48) 秋田営林局の施業計画で「鳥海森林レクリェーション林区域」の指定を受ける。しかしその後は放置されつづけ、ササの群落からブナの森林へと戻っていった。
1989(H01) 林野庁の「第5次施業計画」の中で「使用しなければ指定を取り消す」旨の打診が遊佐町にある。
スキー場として再開発の構想を持っていた遊佐町は急きょ秋口頃に国有林12ヘクタール、三ノ俣登山道沿いの標高400mから920mまでの区域を税金586万円支出してブナ林を伐採する。
「マウンテン鳥海スキーパレス構想」
三ノ俣スキー場計画は、前川製作所(株)を中心とする第三セクター方式で標高1200mから300mまでの62ヘクタールをスキー場として開発しゴンドラ1基、ペアリフト4基を作る計画であった。しかも、更にはゲレンデを天主森(1404m)の下まで伸ばそうとした既成事実作りだったようだ。
1991(H03) 前川製作所(株)を中心とした第三セクター方式でのスキー場計画の見直しを打ち出す。ゴンドラをあきらめて標高を950mに下げる規模縮小を行うが、事業母体がはっきりしない計画となった。
1993(H05) スキー場計画が「電源地域振興センター補助事業」として再浮上する。標高970mからの42ヘクタールの規模でリフト4本の計画。
隣の八幡町のスキー場計画が問題となっている時期に同じようなスキー場計画を作成すること自体が無神経といえる。また環境アセスメントではイヌワシはいないなどと結論づけるなど調査自体が不十分であった。
1997(H09) 遊佐町は三ノ俣スキー場計画を正式に断念する方針を示した。
更には林野庁から受けているスキー場用地としての「森林レクリェーション地区指定」を解除(返上)することを表明する。



 「自然との共生」を掲げる現町長のもとで平成6年度から凍結されていたとはいえ、この結果は隣の八幡町のスキー場計画が最終的に撤回されたことが大きく影響している。安易に中央の資本に頼らず財政面や環境保全の観点からの慎重な姿勢が求められる。
 20数年前にブナ林が伐採され、ようやく直径30cm、樹高5mにまで回復したブナ林を慌てて伐採してしまい、結局は伐採跡のキズだけを残した遊佐町三ノ俣スキー場計画。雪の季節をむかえるたびに、あの鳥海山の麓のキズが痛々しく目に飛び込んでくる。



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