バックカントリースキー


「山スキーとテレマークスキー」への個人的思い




 大人になってスキーを初めてはいたのは1978年12月。 山形県の庄内と内陸を結ぶ月山新道が出来る前の「湯殿山スキー場」が最初だった。前年の夏から山登りに目覚めて?から冬も何かやらなくては思い初めてスキーを買いそろえた。なるべくお金をかけないで揃えたいと思ったので、スキー靴は前年に購入した革製登山靴で滑れば良いし、スキーウェアーは買わないで山のウェアで良いと考えた結果は、山スキーならば「板と金具とストックさえ買えば良いのだ」となった訳だ。

 山に目覚めたばかりで、当時夢中になって読んでいた『山と渓谷』や『岳人』の春山特集はいずれも「春山を駆ける山スキー」とか「東北・山スキー大滑降」、とどめは「いで湯を訪ねる山スキー」なんて特集もあった。スキーをやるなら最初から山スキーしかない!お金も節約できるし!とついには「君も”山スキー派”宣言」との特集記事そのものとなった。


10月の終わり頃の月山牛首
月山の牛首斜面の新雪 月山の牛首斜面を滑る
雪の早い年は10月末頃に、月山の牛首の斜面に雪がつきスキー可能となる。 斜面についた吹きだまりを、ブッシュを避けて滑っているのが見えますか。


連休頃の鳥海山
鳥海大平口より御浜をめざす 鳥海鉾立より山頂をめざす
5月の連休頃は鳥海ブルーラインの大平口より御浜をめざす人たちでにぎわっている。 鳥海ブルーラインの鉾立口から入り、千蛇谷経由で山頂まで足をのばす。


 山スキーを手に入れて以来、友人たちとのゲレンデスキーで練習を重ねながらだんだんと一人でゲレンデから抜け出しはじめた。10月の終わり頃から11月にかけての初雪が月山の牛首の斜面に吹き溜まりとなって何本かの「スキーコース」が出来る頃には毎年のように同じ顔ぶれがそこに集まっていた。月山の初雪頃の吹き溜まりで初滑りを楽しんでから、7月か8月頃に月山もしくは鳥海で滑り納めをするのが例年のパターンだった。
 
 スキーは本来、雪上を行くための板でありリフトがなければ滑れないというのはスキーの楽しさを結局は制限することであり本来の機能を忘れていることになる。整地されたゲレンデの上にひろがる広大な雪原を見て「あの斜面を滑ってみたい!」と思ったとき、その時はじめて自然との対話が生まれ自然と一緒の本来のスキーの楽しさを感じることが出来る。

 最近のスキー場は一頃と比べるとかなりスキー客が減ってきている。ぐるぐる回る技術しか教えないスキー教室、限られたゲレンデに縛りつけておけば売上げ確保のスキー場経営、もくもくとならされたゲレンデをただ滑り降りるだけのスキーヤー。 自然の中で楽しむスキーの原点を忘れて限られた小さな世界に閉じこもったままの現在のスキーの姿が行き詰まってしまった結果が最近のスキー場の現状のような気がする。


山スキー テレマークスキー
山スキー用板と靴 テレマークスキー用板と靴
板   Dynastar Yeti
金具 silvretta 300
靴   LOWA チベッタ
板   Kazama Teremark 
金具 Rottefella
靴   ASOLO Extreme


野山のスキーでいつも使う道具
山のスキーで使う道具
スキーシール  軽アイゼン  かんじき


 革製登山靴でスキーを始めて以来この間ずっと同じ靴をはき続けている。無積雪期の登山にも使うために底のビブラムソールは2〜3度張り替えをして保たせている。何度かプラスチック兼用靴も考えたが、やはり足になじんでいるために変えられないでいる。一度だけプラスチックのスキー靴を借りて滑らせてもらったことがあったが、あまりにも一体感というか「足の遊び」が無くて怖い気がして続けられなかった。手入れさえすれば何十年も保ちそうな気がするが、ただ登山靴の甲と底との境界部の張り出した部分(こば)が長年の山スキーの金具使用で摩耗して、結果として金具の引っかかりが甘くなり時々外れてしまう不具合が出てきてしまった。

 山でもゲレンデでも少しひねると板が簡単に外れてしまうようになってからは、革製登山靴の摩耗、限界を感じてどうやってこれまで通りスキーを楽しむ事が出来るかと思った頃に、またしても山の雑誌で「特集=テレマークってなんだ?」を読んでしまう。単純に、これだ!という訳で今度はテレマークスキーを始めることになった。ゲレンデスキーの仲間たちには「目だつスキーは止めてゲレンデスキーを買え」とさんざん言われたが、ゲレンデスキー技術で遅れをとった身(山スキーではウェデルンは必要なかった…)であり、ましてやプラスチック靴は出来れば履きたくないという気持ちだった。 1987年1月からは必然的にテレマークスキーを履く機会が多くなっていった。


テレマークで旗門をくぐるとは…
蔵王坊平でのテレマークレース  1986年1月19日に蔵王坊平で行われたテレマークスキー全日本チャンピョンシリーズ第1戦。

テレマークスキーを見たことがなかったので蔵王まで見に行く。ひざを曲げてかかとを上げるテレマーク姿勢に一目惚れして、翌年からさっそくテレマーカー?デビュー。ただし、旗門はやらない。


 ところでテレマークスキーって聞いたことがありますよネ?
19世紀の後半にノルウエーのテレマーク地方で生まれたスキー滑走の最初のスタイルです。 ヒールフリーですがその後滑りを重視した踵を固定した今のアルペンスタイルが主流となり長く忘れ去られていました。 
 1970年に入りアメリカのコロラド地方の自然回帰の思考からクロスカントリースキー(歩くスキー)がブームとなり、バックカントリーでの斜面を滑り降りる技術として、あの独特な膝を深く曲げてターンを決めるテレマークスタイルの滑りが見直されて来ました。ヒールフリーのXCスキーにエッジが付いたと思ってみれば良いと思います。山スキーとテレマークスキーはどちらも登る際は踵をフリーにし、スキーの滑走面にシール(滑り止め)を張って登りやすくして、山スキーでの滑降の際には踵を固定して滑ることが出来ます。テレマークスキーで滑り降りる際はずっとヒールフリーでテレマークスタイルで降りてきますが、自分では腰や特に膝には少し負担がかかるかなという気がします。
 
 現在は圧雪されたゲレンデで遊ぶか、柔らかい斜面の野山などに行くかなどいろいろな条件を考えて山スキーにするかテレマークスキーにするかを決めてどちらも楽しんでおります。一頃と比べるとテレマークスキーもだんだん増えてきたような気がする。 
 皆さんも一度ゲレンデを飛びだしてみませんか! 広大な斜面がすぐ後でみんなを待ってますよ!



   2016.4.19追記
 日本国内のスキー人口が減る一方で最近は海外からのスキー客が増えているようです。それに伴い一部の方々はスキー場内の「滑降不可コース」や「立入制限コース」での無謀なスキー滑降によるトラブルなども増えているとか。
海外のスキーヤーに限らずスキー場内でのマナーの遵守、スキー場外での無謀なスキーなどには十分気をつけたいものです。




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