静寂に満ちた1日が過ぎる
新しい年の幕開け
命が生まれる日
そう伝えられたこの日は、静粛に1日を過ごす

清廉な空気の張りつめた一日が終わる
年を重ね、世界が新たに生まれ変わる……
そんな風に伝えられたのがいつの頃なのか、なんて事は知らない
私達は、昔からの伝統に従い同じ1日を終える
新しく生まれ変わる世界って……
一体何が新しくなったのかな?
今までなら疑問に思う事も無かった事
けれど、女王に成って、宇宙そのものを感じ取れる今はそんな疑問が沸き上がる
だって、昨日と全く変わらないんだもの……
もしかしたら劇的な変化が訪れるのかと、心配していたのだから
それとも私の知らない所で、何か起きてるのかな?
そんな筈は無いけれど………
そう思ったら、どうしても気になって確認せずには居られなかった

レイチェルに確認しても、私と同じ意見
結局2人でどうしてそんな風に言われる事になったんだろう?
って悩む嵌めに成ってしまった
その上どうしても気になるのか、レイチェルはその事を調べにいっちゃうし……
何か判ったら知らせてくれるっていうけれど……
「……はぁ?」
私が行き着く先はやっぱりアリオスの所で
長い躊躇いの末ぶつけた疑問には、あきれ果てた様なアリオスの視線が返ってくる
「何わけわかんねー事言ってんだよ?」
「だって疑問に思ったんだものっ」
それからは、いつも通りの言葉の応酬
結局、アリオスの意見は聞けなかった

「生まれ変わる世界、か……」
言葉を繰り返し、空を見上げる
いつもと変わらない星空
相変わらずの世界
アリオスの口元に皮肉気な笑みが浮かぶ
ソレをやるのは“女王”の仕事だろう?
「……ったく……」
宇宙を司るのは女王の役目
この先の道行きを決めるのも女王の仕事だ
今と変わらない世界を選んだのは自分だろうに
「ま、とりあえずは心意気だけでいいんじゃねーか?」
空を見上げたまま苦笑した

世界を包む空気が変わる
例えるならば、締め切った部屋の窓が開け放たれた後の様に
新鮮な空気へと入れ替わったかのように
それは確かに生まれ変わった世界
新しい世界の始まりの時
 

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