いつもと同じ明け方
いつもとは違う夜明け
始まりの太陽を見ようなんて、思ったのはほんの気まぐれ

まだ暗い窓の外を眺める
目の前のテーブルの上には、炎を燃やす燭台が一つ
部屋の隅では、暖炉の中で小さな炎が踊っている
いつも通りの冬の一日
なのに、どこか心が浮き立つ気がする
ただ、年が変わったというだけなのに
ただ、年が変わって初めの光を見るだけなのに
なにか凄い事がおきる様で
その瞬間を心待ちにしている自分が居る
何度も窓の外へと視線を移す
暗い空
景色の一つも見えない深い闇
いつもと変わらない黒い空間が
どこか優しく感じるのはどうして?
身体を動かす事も無く、声を出す事も無く
浮かれた気分を抱えながら、ただ時間が過ぎていく

空が白み初めて浮かび上がって来た外の景色
ちらちらと、視界の隅に舞う白いモノ
白い雪に染められた景色
通りで寒いはずだわ
知ったふりでそんな事を思ってみるけれど
寒さなんて、感じて居なかったというのが本当
少しずつ色を変える空を見つめていると、何か小さな音が聞こえてきた
まるで扉をノックする様な音
私と彼は顔を見合わせる
……見合わせたって言う事は、彼にもこの音が聞こえているという事
何かしら?
まさかこんな時間に人が来るなんて事……
首をひねる私の耳にもう一度音が聞こえる
先ほどよりも強い音
「……誰かきたんじゃないか?」
そう言った声、口調
「………見てくるわ」

そして、私は玄関扉の前
さっきのロックの言葉で気付いた
彼が何か嬉しい事を企んでる
先ほどよりも強い音にノブへと手を掛ける
そして扉を開けたその先に……
「おめでとう」

大事な仲間達の姿があった
 

戻る