あいつの事を想うならば
まず始めに浮かぶのはその心根
真っ直ぐ前を向きくじけることなく進む心のあり方

アンジェリークという人を語るなら、一番に上げるのはあの性格
素直で疑うことを知らなくて、呆れる程にお人好し
俺以外の奴に同じ事を問いかければ、違った意見が聞けるだろう
だが、俺が見る限りはこれ以上に的確な表現なんて無い
1日に一度は必ず
何かの頼まれ事を引き受けている
………それが悪いなんて言っている訳じゃない
むしろそこがあいつらしいと、そう思う
―――――――――
出会いは………
………初めの出会いは、あらかじめ仕組んだもの
印象的になる様に、敵では無いと錯覚させる為に、事故を引き起こしあいつに近づいた
その時の意識ではただの敵であり、この後利用する為の1つの駒
それ以外の事は想っては居なかった
実際に近づきその姿を目にし、生じたのは強い驚き
そして以前よりも大きくなった利用価値
たぶん、あいつに取ってはこれ以上に無い最悪な出会いだ
アンジェリーク本人の事はまるで認識していない
………結局はソレが命取りだ
中身、あいつ本人の性質を全く認識していなかったお陰でつきつけられるはめになった数々の感情
ちっとも似ていない性格、態度、思考
その数々が俺を苛立たせ
どこか、心の奥底で求めていた性質
その全てが………

印象に残るのはその一つ一つの行動
何処までもあいつらしいその魂
アンジェリークの存在は彼奴を形作っている本質を記憶している
あいつの外見を、姿形を語る必要は無い
姿だけ同じ人間を俺は良く知っている
だからこそ
浮かぶのは眩しいほどに強い純白の光
何処に居ても感じられる優しく強い気配
姿を見るよりも、気配を感じる事の方が俺にとっては重要だから
目を、閉じる―――

近づいてくる馴染んだ気配
喜びに満ちた空気が直ぐそこまでたどりついて
そうして………

―――目の前にある見慣れた姿、手を伸ばして始まる至福の時間

 
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