セリスの事を想うならば
まず始めに浮かぶのはその表情
寂しげな顔と哀しげな瞳

セリスという人を語るとするならば、一番に上げるのは顔の表情
今のセリスを見ればその表情に不安を感じる事は無いだろう
誰かが表情の事を上げたとしても、ソレは今の明るく良く変わるソレの事を言うはずだ
実際、今のセリスは良い顔をしてる、と思う
けれど、俺が思うのは、出逢ったばかりのセリスの表情だ
感情を押し殺した顔
辛い癖に辛いとは言うことがなかった頃
あの表情を思い出すたびに、2度とあんな顔をさせたくないとそう思う
―――――――――
出会いは………
………出会いは衝撃的だった、そして突き動かされた衝動のままに気が付いたら助け出し仲間に引きこんでいた
本当は敵対する勢力の仲間になんか入りたくはなかったのかもしれない
硬い表情や、思い詰めた様な瞳はそれの現れだったかもしれない
………そんな事を想い始めたのは後に成ってからだ
あの頃、あの瞬間は細かい事を考えている余裕なんか無かった
あったのはただ単に帝国に対する怒り
助け出したのもセリスの事を考えた訳では無く、ただ自分の都合だ
仲間になったばかりの頃の表情
街を行く人々へと向ける視線
人に隠れて見せる辛そうな表情や哀しげな顔が、どうしても気になった
悲しみや辛さを少しでも軽減出来れば………
そう思ったのが多分きっかけ
セリスを深く知るための始まり………

印象に残っているのはあの表情
様々な感情が混ざった哀しげな表情
あの表情は、今はもう見る事は無いものだが………
今も、記憶を離れる事はない
過去の記憶が思い浮かび、今の表情を間近で見つめ
そうして感じるのはささやかな幸福
きっかけは、哀しげで、苦しげな表情
気持ちを楽にしてやりたいと望んだ事
だからこそ
あの時とは違う、柔らかな笑顔に、穏やかな視線に目を惹かれる
そして感じる幸福
少なくとも、その表情を浮かべる理由の1つが自分だという
そんな満足感
だからこそ―――

華やいだ表情でセリスが笑いかける
穏やかに流れる日常の時間が愛しくて、そっとその身体へと手を伸ばす
そうして………

―――ありふれた生活の中に感じる些細な幸せ、何物にも代え難い大切な時間

 
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